トップ・ジャズピアニストのアキコ・グレースと期待の新人アルト・矢野沙織が初共演するというビッグなコンサートが10月20日、晴海埠頭に接岸された豪華客船「ぱしふぃっくびーなす」船上で行われた。
主催は「NPOみんなのオペラ」で、いつもは上質なオペラを開催しているが今回はなぜかジャズ。
会場は、船内メインホールでステージ前は20人くらいがダンスが出来るくらい空きスペースとなっておりその周りにソファと椅子が100個くらい並べられており贅沢でゆったりとした雰囲気。
年配の音楽ファンでジャズははじめて聞くという人が多く、コロムビア・ディレクターの岡野博行とDJの島田奈央子の解説入りでのコンサートであった。

まず、アキコ・グレース・トリオが登場。ベースが上村信、ドラムスが大坂昌彦で"Libido""Greensleeves"を演奏。なんとなく客席もアキコも硬い感じでジャズ・コンサートの熱気が感じられず、このままどうなるのかと心配が先立つ。
次に、何と矢野沙織の登場だ。当初の案内では別々のバンドが登場するかのような告知であったのでビックリ。
矢野のオリジナルのハードバップ"How To Make A Pearl "でスタート。それまでのしらけムードを断ち切るかのようにドライブし会場をアッと言わせた。
彼女のアルトは1920年代製のヴィンテージものだそうだが、女性と思えない太い音色でCDでは渡辺貞夫に似ていると思ったが、ライブではフィル・ウッズに近い豪快な感じだ。アキコのトリオも触発され一気にヒートアップし、ジャズ・コンサートらしいステージになってきた。
次の"The Day Of Wine And Roses"のあとインタビューが行われた。
まだ高校生の矢野は今日は学校を早退してきたそうで、明日は中間試験とのこと。
ジャコ・パストリアスの"Dona Lee"を聞いてジャズに興味を持ち、ビリー・ホリデーの伝記を14歳の時に読んで、ビリーが13歳で歌手になったことを知り、自分もジャズ・プレーヤーになろうと決心したというからただ者でない。
"Everything Happen To Me""Cofirmation"をマイペースで吹ききり存在感をアッピールした。

矢野の登場で盛り上がった後、今度はアキコへのインタビューが行われた。彼女はニューヨークでの活動が永かったがニューヨークの聴衆は反応がわかりやすい。日本人はそれに対してじっくりと聞く感じでそれぞれのよさがあるとのこと。
今は日本に活動の場を移して2年になるそうだが、日本のミュージシャンもすばらしい。次のアルバムは一転して和風のジャズを演るとのことで楽しみだ。

おしゃべりの後、再び、アキコ・グレース・トリオの演奏。
新譜「ニューヨークスタイル」の1曲目に入っている"Jump"、マイルス&キャノンボールのイメージで"Autum Leaves"そしてデビューアルバムから"Delancey Street Blues "で締めくくった。
"Jump"はバン・ヘーレンの曲だが本当にロックの曲かと思うくらいアキコならではの美しく叙情的なサインドに変貌させているのに改めて感心する。大坂の迫力あるドラミングにプッシュされ抑制された中に情感豊かに盛り上げるアキコ独特のすばらしい演奏を聞かせてくれた。

アンコールで再び矢野も加わり"IT Could Happen To You"を演奏、予定の1時間を20分も超過して終了となった。
アキコが衝撃的なデビューをおこなってまだ2年もたたないというのに、今度は、16歳の矢野沙織の登場でJ-ジャズはますます面白くなってきた。(2003.10.21)

アキコ・グレイス 2004年STB139での「Akiko Grace "Tokyo" Tourの東京公演」 のライブレポートはこちら