友人のドラムの名手アルビン・クイーン(Alvin Queen)が日本にやってきた。
彼は、日本ではほとんど知られていないが、
Dizzy Gillespie
、Charles Tolliver、
Kenny Drew、
Junior Mance
などのビッグナームとの共演歴をもっている。
1979、ニューヨークからスイスのジュネーブに移住、そのステディーでドライブするドラミングはヨーロッパではもちろん北米、南米、アジア、アフリカと世界から引っ張りだこで、年に15回くらいツアーを行っている。
自身のレーベル"
Nilva Records
"をはじめ多くのレーベルからたくさんのアルバムをリリースするなど世界のトップレベルのミュージシャンだ。

日本へはJunior Manceなどと4回来たことがあり、北海道から九州までツアーした。今回の来日は演奏ではなく日本のレコード会社とのレコーディングの打ち合わせのためで、2枚のアルバムを制作することになった。レコーディングはコペンハーゲンで行うそうで、メンバーは発売されてからのお楽しみだ。
アルビンとは2月11日に会うことにしており、ライブハウスへ連れて行く約束をしていた。しかし、私は、当日が建国記念日で祭日であることを忘れていた。東京のライブハウスは日曜、祭日はほとんど休みだが運良くお茶ノ水の”ナル”がオープンしていることを見つけた。しかも出演は私の友人チンさんこと鈴木良雄だ。
チンさんはレギラーの"Bass Talk"のほかセッションバンドでもプレイしており、この日は
海野雅威(p)、吉岡大輔(ds)とのトリオのセッションであった。
1stセットは"Joy Spring"でスタート。スタンダードと僕のオリジナルも交えお送りしますとアナウンス。肩のこらないスイングする演奏で人のいいチンさんの素顔が感じられる心地よいセッションだ。間近で聞くチンさんのベースの音はサポート役に回ることの多いベースをメロディー楽器に変身させ、あたたかい美しいトーンと正確なピッチですばらしいソロを聞かせてくれた。
1stセットの最後に、今日は後程サプライジング・ゲストがあります。どうか皆さん最後まで聞いてくださいとアナウンス。いよいよアルビンとチンさんの共演が実現することになった。
2ndセットは2曲チンさんトリオの演奏の後、チンさんはアルビンをステージに呼び上げた。
チンさんは米国在住時代アルビンと同じニューヨークでプレイしていたが、一緒にプレしたことはないという。しかし、お互い百戦錬磨の名手。日本を代表する世界のチンさんはアルビンにとっても相手にとって不足はない。
"SummerTime"やブルースなど4曲も演奏した。
アルビンのドラムは、アート・ブレーキーやエルビン・ジョーンズのようにダイナミックなドラミングでピアノトリオでもフォルテシモとピアニシモを自在に使い強烈にプッシュ、ホーンが入っているバンドであるかのような錯覚を受けるくらい迫力のあるサウンドを作り上げていた。
ベースのチンさんもそれまでの柔和な顔から一変、険しい顔で強烈なビートで応酬し白熱したセットとなった。そして、注目すべきはピアノの海野。彼は若干23歳とのことだが、この大リーグ級の顔合わせの中で遠慮をみせずバド・パウエルのスタイルでエキサイティングなプレイを行っていた。
途中、アルビンの長年の友人という歌手のマリア・エバも登場。曲名を忘れたが1曲スタンダードを歌った。彼女は日本語が流暢でフォリピンから来日して20年以上になるという。ライブハウスでははじめて聞いたが、ビリー・ホリデイの流れを汲む正統派ジャズボーカルで実にうまいのにびっくりした。もっと評価されていい実力派シンガーだ。
この日”ナル”に来たお客さんは思わぬ飛び入りの出演に大満足であった。
アルビンの実力が日本のジャズファンにすこしでも知られればれしいことだ。(2004.2.14)
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