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7月12日、ブルーノート東京へロイ・エアーズのグループを聞きに行った。「スーパースターズ・オブ・ジャズ・フュージョン フィーチャリング・ロイ・エアーズ、トム・ブラウン、ウェイン・ヘンダーソン・オブ・ジャズ・クルセーダーズ、ミキ・ハワード & ロニー・リストン・スミス」という公演。

ライブハウスへ行くのは久しぶり。ブルーノート東京にはが南青山に出来た1988年開店当初のフレディー・ハバードのライブ以来だ。
ロイ・エアーズはフュージョン系のミュージシャンでいままで彼の演奏は聞いたことは無かったがひょんなことから行く羽目になった。彼は70年代、ハービー・マン(Fl)の「メンフィス・アンダーグラウンド」のレコーディングに参加したり自身のグループのレコーディングではソニー・フォーチュン、ビリー・コブハムといったトップ・クラスのミュージシャンと共演してきた。R&B、ファンク、ダンス・ミュージックを取り入れたジャズの演奏で若い人にも人気のヴァイブ奏者だ。
この日は、オールスターということでトム・ブラウン、ウェイン・ヘンダーソンやロニー・リストン・スミスなど私も名前だけは知っているミュージシャンがいた。

ライブのオープニングは、ロニー・リストン・スミスのキーボードによるトリオ演奏。彼はマイルス・デイビスのレコーディングにも参加した実力派。1曲目からアップテンポの曲でテクニックを駆使しスリリングなプレイで会場の空気を一変させた。
2曲目のスローの曲の後ボーカルのミキ・ハワードが登場。彼女はウェイン・ヘンダーソンに認められ彼のレコーディングにも参加してきた。グラミー賞にノミネートされた実力派でソウルフルで思い切りのいいシャウトに圧倒された。また、彼女が尊敬しているというビリー・ホリデイの"Good Morning Heartach”を情感豊かに歌い上げるなど表現力の豊かさに脱帽。途中からトランペットのトム・ブラウンが客席後方から入場、ミュートをつけてリリカルにオブリガートで絡み感動的なショーケースとなった。

トム・ブラウンは80年代の「Love Approach」のジャケット写真のイメージを持っていたが、実際に見た彼は相応の年をとり渋い”ちょいワルおやじ”の感じ。トムのフィーチャーリング・ナンバーではオープンに切り替えハイノートを織り交ぜ音数の多いソロを行い存在感を示した。トムの3曲目の”Night In Tunijia”でやっと御大のロイ・エアーズが演奏に参加、かっこいいアレンジで急速調で演奏、一気に盛り上がった。キーボードのようなメカニカルな音が飛び出したのにびっくり。なんとロイが弾いていたのはエレキ・ヴァイブだった。この曲ではアルトのレイ・ガスキンスが超絶テクニックを披露、ベースのドナルド・ニックスもチョッパーやハイ・ポジションを使用したプレイで聴衆を引き付けるなど場内はますますヒートアップ。ロイはヒット曲”Searching'”でボーカルも披露、ヴァイブもエフェクターなしのノーマルな透明感のある音で4本マレットを使用しメローなソロを行った。

そして、いよいよトロンボーンのウェイン・ヘンダーソンが登場。目が不自由なのかアシスタントが先導しステージ上の椅子に座った。クルセイダーズのナンバー”STOMP AND BUCK DANCE”でかっこいいファンクのリズムにのってスタート、トム・ブラウン(Tp)、レイ・ガスキンス(Sax)との3管による分厚いパワフルなサウンドがビッグ・ウェーブのように押し寄せてくる。これまで多少ヨレていたトム・ブラウンがフル・トーンでキメている。さすがフュージョンの大御所ウェイン・ヘンダーソンのすごみは大したものだ。彼のトロンボーンはディジー・ガレピーのトランペットのようにベルが45°上に向いている珍しい形、中音域を駆使してよく歌うソロを聞かせてくれた。
最後は、クルセイダーズの”KEEP THAT SAME OLD FEELING ”で聴衆も一緒になって歌で参加させる演出で大盛り上がり。1時間半の1ステージがあっという間に終了した。

日頃、フュージョンは聞かず嫌いの筆者あったが、ライブを見てアドリブをしっかりとこなしメインストリーム・ジャズとは基本的に変らない演奏に満足。短いソロでも必ず一人一人が聞きどころをつくる構成力と演奏技術の高さに感心した。更に、ショーアップの要素が追加されライブならではのパフォーマンスが楽しかった。演奏は掛け声やアジテイションを織り交ぜながら行いり聴衆との一体感を形づくって行く。ジャズはエンタテインメントでもあるので観客を意識したパフォーマンスを期待するのは当然だが、得てして日本のバンドがそれをやると白けてくることがある。やはり充実した演奏あってのパフォーマンスだ。その点彼らのステージは最高だった。ディナー付きのテーブル席という高価な料金も惜しくない満足感のあるライブでした。(2008.7.13)