「ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル2008」をはじめて聞きに行った。
このジャズ・フェスティバルは「、国際的で文化性の高い銀座」を世界に向けて発信していくことを目的に毎年開催されており、今回で4回目となる。
11月1日と2日の2日間、銀座のブランド直営店など7会場で国内および欧米各国から15グループ67名のミュージシャンが出演、32のステージが開催されるという大規模なもの。
私のお目当ては、ファブリッツィオ・ボッソ&ジャヴィエル・ジロット・セクステット"Latin Project"。ファブリッツィオ・ボッソはイタリアジャズ界を代表する新人トランペッターで昨年5月「ニュー・シネマ・パラダイス」がブルーノート・レーベルから発売され、ストリングスをバックにブリリアントでスイートな演奏で聞き手を魅了した。また、今年10月にはトロンボーンのTommyのアルバム「ワン・ウェイ・トゥ・ローマ」に2曲参加、ハードバップでエキサイティングなプレイを聞かせてくれた。稀代のトランペッター、ファブリッツィオをなんとしてでも生で聞きたいと万難を排してギンザ・ジャズフェスへ出かけた。
会場は、東銀座の時事ホール。新しいホールで気持ちがいい。300名ほどの席が満席。定刻の、12:30に開演した。"Latin Project"はファブリッツィオが、アルゼンチン生まれのラテン系サックス・プレイヤージャヴィエル・ジロットと結成したラテン・プロジェクト(Fabrizio Bosso (Trumpet)、Javier Girotto (S-Saxophone)、
Natalio Mangalavite (Piano)、Luca Bulgarelli (Bass)、Bruno Marcozzi (Percussion)、
Lorenzo Tucci (Drums))で新譜「Sol」(輸入盤)が11月に発売される。日本公演のスタートに当ジャズフェスを選んだとのことで熱心なファンが集まった。2管のフロントでピアノ、ベース、ドラムスにパーカッションが入るセクステット。サックスのジャヴィエルは、長い間エンリコ・ラヴァ(Tp)と一緒にプレイしてきており、自身のリーダー・アルバムを数多くリリースしているした実力派ミュージシャンだ。
明るいラテンリズムにのってファブリッツィオのトランペットとジャヴィエルのバリトン・サックスが日本人にはあまりなじみのないメロディーラインを描き出す。トランペットとバリサクという組み合わせもジャズではマリガンーベイカーくらいであまり例がない。しかし、アドリブに入るとファブリッツィオの輝かしいトーンと超絶テクニック駆使しメロディックなフレーズを次々に繰り出し聴衆を圧倒した。なかでも、ジャヴィエルがソプラノ・サックスに持ち替えた3曲目ではフリー・ソロを交えたストレート・アヘッドなジャズでファブリッツィオがフレディー・ハバードの全盛期を思わせるシャープでダイナミックなソロを展開、息を呑む見事な演奏に会場はヒートアップした。また、ミュート・プレイも見事で3種類のカップを曲により使い分け多彩な演奏を聞かせた。ファブリッツィオの生のプレイに接しウィントン・マルサリスをはじめて聞いたときのような興奮を覚えた。
アンコールを含め10曲演奏されたが、1曲を除きすべてオリジナルのようでサックスのジャヴィエルの作編曲のものが多いのか彼が仕切る場面が多かった。ジャヴィエルのバリサクのリズミックなフレーズやソプラノのメロディックなフレーズ、表情豊かでエキサイティングなドラムスとパーカッションなどイタリア・ジャズを堪能させてくれた。
次は、アルマーニ・銀座タワー9Fで行われた、”クオシモード”を聞きに急いで移動。開演にぎりぎり間に合った。10月に3rdアルバム「SOUNDS OF PEACE」をリリースしたばかりで、クラブ・ジャズのリーダー的グループとしてますます注目を集めている。
この日も、平戸祐介(Pf、Key)、松岡”matzz”高廣(Perc)、須長和広(Bass)、奥津岳(Drums)に岩本義雄(As)、福山光晴 (Tp)が加わったセクステット。最初に聞いたファブリッツィオ・ボッソ&ジャヴィエル・ジロット・セクステット"Latin Project"と同じ編成であったが、演奏スタイルは異なり、ラテンのリズムを強調しパワーフルなプレイを前面に押し出したロック・グループといった感じで、ダンス・ミュージックの感じはあまりしなかった。会場が椅子席で聞き手が着席しているというシチュエーションが彼らの演奏をいつものライブとは違った演奏にさせていたのかも知れない。
松岡のパーカッションと福山のトランペット、平戸のピアノの熱気溢れる演奏が強烈なインパクトを与えていた。終始フォルテシモの大音量での演奏は若い人向きという感じを受けた。
遅い昼食をゆっくりとった後、矢野沙織を聞きにバーバリー銀座店9Fホールへ行く。
17:30開演だが30分前には50人くらいが入り口に並んでおり彼女の人気ぶりが伺える。
この日のメンバーは、矢野沙織(As)、細野よしひこ(G)、金子雄太(Org)、小松伸之(Ds)。昨年発売の「リトル・タイニー」と同じフォーマットだ。リズム隊3人が先に登場してしばらく間が空いてから矢野沙織が登場。最近ファッショナブルになって化粧品のCMにも登場しておりこの日はどのようなファッションかも興味をもたされたが、ロープを腰にぶら下げ右足の靴下は引きちぎられて破れているという奇抜なファッションでびっくり。
演奏は、スローな曲でスタート、”ローラ”といっていたがはじめて聞く曲だ。2曲目は昨年発売の「リトル・タイニー」からオリジナル”My Baby Shot Me Down ”。アップテンポでパーカーばりの8分音符のよどみないフレーズを連発し矢野の真骨頂を聞かせる。続いて、ウェス・モンゴメリーの「フル・ハウス」から”フル・ハウス””SOS”、ますます快調にとばしている。そして、「リトル・タイニー」からのオリジナル”Pardon Lucy”でメランコリーな曲を情感を込めて演奏、コード進行も変わっており矢野のアイデアが光った曲だ。”Aligater Boogaloo””タクシー・ドライバーのテーマ”と演奏したところで予定時間終了。アンコールに応え、”In The Mood”そして報道ステーションのテーマ曲になった”Open Mind”でクローズ。
オルガンの金子はこの日はもっぱらサポートにまわり控えめな演奏、ギターのベテラン細野は味のある演奏、ドラムの小松は切れのいいダイナミックなドラミングで矢野を鼓舞していた。
矢野は、メンバーとはさほど多くのセッションを行っていないようで頭へ戻るサインなど細かく彼女が指示していたが、ますます進化しサウンドづくりをリードし自信溢れる矢野沙織を聞くことができた。それにしても、ウエストをギュッとしめつけたコスチュームでよくサックスが吹けるなと感心した。
はじめての「ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル」であったが、受付など運営スタッフは黒のスーツに身を固め、丁寧な対応で非常に気持ちがよかった。
是非、来年も「ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル」を継続し話題のジャズ・グループを聞かせてほしいものだ。
ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル公式サイト:http://www.ginza.jp/ginzajazz/
(2008.11.3 Courtesy of GIJF2008)