
── 今回のアルバム「Yesterday When I Was Young帰りこぬ青春」のコンセプトをきかせて下さい。
いろんな年代のかたが、あ、懐かしい感じ、いいね!と思ってくれる楽曲を選び、深みのあるイタリアンジャズで味付けをしました。
── 今回のアルバムの選曲で、ご自身がこだわった部分はありますか?
今まで他の人があまり歌っていない曲、心を真っ白にして聴いてジーンとくる曲、そして聴くたびによくなるようなメロディーを選びました。
── 今回のアルバムの聞きどころを教えてください。
イタリアのミュージシャンとのスタジオ同時録音。同じ空気を吸って、その一瞬に懸ける緊張感を聞いてください。そこはかとなく漂うヨーロッパのサウンドが心地よいです。
今、人気急上昇のファブリツィオ・ボッソ(トランペット)のプレイが素晴らしいです。
── キャロル山崎さんの通常の音楽活動のスタイルについて教えて下さい。
横浜・東京を中心にライブハウスでスタンダードナンバーを歌っています。地元、本牧ではブルースナイトや、ザ・ピーナッツのカヴァーユニットも。北村英治グループにもよく呼んでいただきます。ジャズフェスティバル・コンサート・ディナーショー等。
── ジャズとの出会いやキャロルさんの音楽のバックボーンについてお話し下さい。
母が喫茶店を経営していて、かかっていたのがビーチボーイズ、ビートルズ、アンディ・ウイリアムス、映画音楽、ラテン音楽でした。小学生の頃、宿題はそこでやっていたので自然にいろいろ聞いていました。
中学生の時、合唱部に入りました。先生が、一人だけ金属的な声の人がいる、と私を見たので傷ついてやめました。それから私は一人で歌うのだ、と決めました。
高校生の頃に連れて行ってもらったジャズ喫茶でコルトレーンを初めて聞きました。タバコの煙とわけのわからない音楽、我慢して20分くらい居たかと思います、結論=ジャズは自分に関係ない!でした。アメリカンポップスやオリジナルソングを歌っていたある時、叔父の家でジュリー・ロンドンを聞きました。ワー、素敵!!と叫ぶ私、虜になりました。これもジャズだよ、と言うのでたいへん驚きました。そして歌ってみたい、と思ったのでした。
── 今回のアルバムと前作「Dream」との違いは何でしょうか?
前作は枠組みがかっちり決まっていて、その中で歌っていきました(大きな船に乗っているみたい)今回はスタジオでミュージシャンと共に作っていきました。(一緒に船を漕いでいるみたい)前回はセルフプロデュース、今回はプロデューサーがいて舵取りをしてくださり、一人ではない心強さがありました。背中を押してもらって挑戦できました。
── イタリアのローマで録音した理由は何でしょうか?
ジャズといえばニューヨーク。ただ、あまりに多くの方が録音していて、今や“普通の出来事”。一方、ヨーロッパのジャズはいつも気になっていました。単純に、まだ他の人が足を踏み入れていないところで録音したかった。ヨーロッパでもローマが一番、ミュージシャンの層が厚い、ジャズシーンに活気があるので決めました。永遠の都に行ってみたかったのもあります。そして、ファブリツィオ・ボッソとの共演も夢見ていました!
── イタリアのミュージシャンと日本のミュージシャンとでは大きな違いを感じましたか?
アレンジャー&ピアニスト、ブラーボさんはイメージを膨らませて楽曲のカラーを決めていくセンスが素晴らしいと思いました。みなさん、私の要望に何とか応えてあげよう、との包容力があって、ロマンティックで情熱的!いつもいい雰囲気を作ってくれました。
── 今回の参加メンバーとのエピソードがあればきかせて下さい。
ファブリツィオ・ボッソさんに、東京はどのエリアが気に入りましたか、と質問したら、
シブーヤ、ロッポンジーとお答えになったところがキュートでした。
── イタリアのローマはキャロルさんにとってどんな街でしたか?
古代と現代がマッチングしている不思議な空間…落ち着きます。時の流れを感じながら一瞬タイムスリップしたり。洋服やアクセサリーのセンスも大好き!よく歩いてしまう街でした。
── 今回のレコーディングでご自身が一番こだわったこと、意識したことは何でしょうか?
演奏と一体になることにこだわりました。初めて会うミュージシャン、その場で初めて聞く編曲。ひるまずに、自然体でやっていこうと意識しました。
── 今回のレコーディングで印象に残るエピソードがありましたら教えてください。
Volare、Gee Baby, Ain’t I Good To You に、イタリア語を入れてみました。発音に関しては“先生”が多くてうるさかったです。セリフのセンテンスを言うと皆にちゃんと通じ、ニコッと微笑んでくれたのが嬉しかったです。
スタジオはエンジニアのクライブさん宅にあります。天気のいい日、ランチはお庭の一角で。大きなピザをみんなでほおばっていると大きなワンコ、3匹がテーブルの下から顔を出しました。また、エスプレッソマシンがあり自分で自由に作るのですが、わきにあった甘いパンが美味しくて、食べすぎました。1日目、エスプレッソを飲みすぎ、喉がすぐ枯れました・・。
大事な日なのにィ。
── 今回の作品の中で、特にアレンジが気に入っている曲はありますか?
どの曲も素敵でとても気に入っています。特にThe World We Knew Over And Over はバラードのイメージしかありませんでしたが、見事にリニューアル!
── 今回のレコーディングを終えて、何か新たな発見や感じたことなどはありましたか?
デジタル化が進む中、同時録音にあえて挑戦し本当によかったと思います。イタリア語は全くわかりませんでしたが“音”で会話できました。
── 今後のキャロルさんの目標や夢、今後挑戦したいことをお話し下さい。
・このトリオと日本公演をやり、イタリアンジャズを皆様に聞いていただきたい。
・あと2ヶ国を選んで “ヨーロッパ3部作”としてアルバムにしたい。私の故郷、ハンガリーにも行きながら。
── このCDに大きな期待をよせるリスナーの皆さんに向けてメッセージをお願いします。
イタリアのオールスターのようなミュージシャンとのコラボが実現しました。おひとりお一人の感性がすばらしく、エレガントでしかも情熱的な演奏を楽しんでいただけると思います。一か八かの同時録音は私にとってたいへんな緊張感が伴いました。その臨場感を味わってくださいね、カプチーノでも飲みながら、それともヴィノ・ロッソで。
(2009.5)