
===メール・インタビュー===
Q.10月17日発売の新譜「ストレートアヘッド」はZ'sというグループ名になっていますがこのグループの結成の経緯と狙いはなんですか
■このグループの結成は偶然、以前の作品のトリオの活動で、メンバーの都合がつかずに代わりに集まっていただいたのが多田さんと納谷さんでした。その日のトリオでの演奏があまりに楽しかったのと、最近になく小細工のないストレートな表現でライブが出来た喜びが今回のアルバム結成のきっかけになりました。
Q.ドラムレスのグループだとベースの演奏がよりクローズアップされますがベースの役割が変わってくるのですか。また、曲によりドラムスの大坂昌彦が参加している理由は何ですか。
■ドラムレスによるベースの役割はもちろん基本のグルーブを担うことですが、その他のメンバーがそれぞれにグルーブを補えば、ドラムがいるときとは違うグルーブ感が生まれます。その音と音の間にあるベースの音色が生きるのはドラムレスという編成です。しかし本当に優れたドラマーならそれを壊さずによりアグレッシブに音楽を発展させてくれます。それを出来る人が大坂君しかいない、ということで参加してもらいました。参加曲が半分なのは曲によってのダイナミクスがより大きくつけることが目的でした。
Q.「ストレートアヘッド」というタイトルですが井上さんのアルバムはこれまでもストレートアヘッドすなわちド・ジャズだったと思いますが敢えてこのタイトルにした理由は何ですか
■今回のタイトルの「ストレート・アヘッド」はスタイル的なものより精神的なもの、すなわち「小細工なし」という心意気を表現したかったからです。しかも今までのアルバムはいろいろな要素を取り入れてジャズを表現しましたが、今回はあえて伝統的な手法にのっとって演奏しています。しかしそれでいて色々な表現が出来たと思います。
Q.このアルバムのどのようなところに注目してほしいですか
■なにより、アコースティックなジャズの音色の豊かさと、肌で感じる感覚を楽しんでほしいです。毎日、日常の中でいろいろな場面で聞いてもらえる、そんな音楽を目指しました。
Q.いまのジャズのポップ化やフュージョンあるいは他ジャンルのミュージシャンのジャズへのアプローチにどのように思いますか
■もともとジャズという音楽がいろいろなものを吸収、消化、変革していく過程で生まれた音楽なので、それぞれが自由にやることには大賛成です。しかしそれがジャズの生命線である、根底にジャズというものが感じれるかどうかが僕には重要に思われます。長く聞き続けられるかどうか、という点ではこれが大きく関係してくると思います。
Q.井上さんはニューヨークで活動し現在は日本に戻り活動しています。今日では人気、実力ともにNO.1ベーシストですが海外のミュージシャンと日本のミュージシャンとの違いはありますか
■違いはあります。それが何かは大リーグと日本の野球に似ています。それぞれに長所短所があります。しかし海外は広いという点で、自分を大きくするチャンスは海外に沢山あるということです。それを見たことがあるか、経験したことがあるかどうか、というのはそういう経験をしたもの同士ならすぐにわかります。
Q.井上さんは引く手あまたで多くのグループに参加していますがレギラー・グループでの活動はどれですか
■自分のグループ、そして塩谷哲トリオが現在のレギュラー活動の中心です。
Q.演奏でいつも心がけていることは何ですか
■あらゆる意味でよい音を。そして自分を大きくも小さくも見せないように。
Q.月並みですがジャズに入り込んだきっかけ、影響を受けたミュージシャンを教えてください。
■きっかけはフュージョン全盛時代の音楽、ウェザーリポート、ジャコ・パストリアス、ジャズを本格的に聴き始めてからはビル・エバンス、スコット・ラファロ、エディ・ゴメス、レイ・ブラウン等など。
Q.今後の抱負を聞かせてください
■自分だけでなく、皆でよい音楽を作っていく、そんな気分に皆をさせる影響力を持った演奏をするミュージシャンになりたいです。生々しいベースの音がもっと楽しめる作品を作っていきたい希望もあります。