Jazz Pageは日本のジャズを中心に新譜アルバムやミュージシャンの活動状況などジャズ情報を毎週発信しています。


パウロとは18年来の付き合いで家族同士も親しくしています。

 ニュー・アルバム「THE A.S.B ft. KANZAKI & MICHAEL PAULO / エイジアン・ソウル・ブラザース」は楽しく聞き応えのある演奏ですね。
特に、1曲目の“When You Kiss Me”は明るい曲で気に入っています。
それぞれの曲についての聞きどころなどお話いただけますか。

 参加ミュージシャンは、L.A.からアレックス・アル (b),ランド・リチャーズ(ds)。日本からは、神崎ひさあきbandの中道勝彦(key),松川純一郎(g)、岸田容男(ds)『神崎オン・ザ・ロード』 の盟友、入江宏(key,arr)が参加しています。

“When You Kiss Me”は10年以上前に作った曲でラップを交えてレコーディングしたことがあります。しかし、当時はまだラップが今日ほど人気がなくレコーディングが没になってしまいました。今回はラップの部分をマイケル・パウロにやってもらいました。パウロとは永年プレイしてきた中で最高の演奏ができたと思っています。
ケニー・G等のレコーディングもあるベースのアレックス・アルもすばらしいプレイを聞かせてくれます。

2曲目の” In The Moment”は パウロの曲ですが、3年前からレコーディングしようと思っていました。スムース・ジャズの典型的な曲です。ドラムのランド・リチャードはアース・ウィンド・アンド・ファイアーなどと一緒にやっていた実力派ミュージシャンです。パウロより永い付き合いですね。

”Body and Soul”は私の音楽の原点であるジャズに根ざしたフュージョンを聞いてもらいたいと思いました。

私は1980年『神崎オン・ザ・ロード』というフュージョン・グループでデビューしたのでフュージョンのイメージが強いのですが、中学時代からサックスをはじめジャズを勉強していました。この曲はその当時から好きだった曲です。日本ではフュージョンというと何故かロック主体、プログレ主体から発展してきましたが、フュージョンという言葉すら無くなってきた現在でもアメリカでは、フュージョンから派生した様々な形態があります。そのひとつがスムース・ジャズです。
私はジャズからスタートしたので今でもジャズとフュージョンは同じ気持ちで演奏しているんです。是非ジャズのフィールが入ったフュージョンを聞いてほしいと思いました。ランド・リチャーズ(ds)の深いリズムとストリングスのアレンジにも注目してほしいと思います。

4曲目の”Missy's Groove”はソプラノサックスを使用しています。パウロの曲ですがセッションしやすい曲なので選びました。2人の音色の違いなどに注目してください。

最後の”Baby, Baby”はダイアナ・ロスが来日した時、彼女のマネージャーから神崎の曲を聞きたいというリクエストがありアレンジも含めて1年がかりで作った曲です。しかし、出来上がって彼にに連絡したのですがすでにダイアナ・ロスのマネージャーを辞めてしまっていたのでダイアナ・ロスに聞かせる事はできませんでした。今回のアルバムで日の目を見たという訳です。

 共演のサックスのマイケル・パウロとは永い付き合いのようですが、彼を紹介していただけますか。

 リッキー・マイナーというベース奏者・プロデューサーがいるのですが、彼はアメリカン・アイドルという番組のミュージカル・ディレクターなどを行っていますが、私のアルバム「KANZAKI」に参加しています。
彼がアル・ジャロウかジェイムス・イングラムと一緒に来日した時いいサックス・プレーヤーがいると紹介されたのが最初です。
パウロはハワイ出身でかって全米ヒットさせた”カラパナ”というバンドに在籍していました。紹介さされてすぐに意気投合してシアトル、ロスなど色々なところでセッションしてきました。もう18年くらいの付き合いです。
来日した時はもちろんセッションしますし兄弟のような感じです。家族同士でも付き合うなど気心は充分知れた仲です。

When You Kiss Me (KANZAKI)
In The Moment (Michael Paulo)
日本ではフュージョンといってもタタミ掛けるような音楽が多いですが、私は引いた音楽も大事だと思っています。

 神崎さんはジャズの勉強はどのように行ったのですか。

 大学に通いながら、ネム音楽院(現、ヤマハ音楽院)の東京校で山口真文さんに3年間サックスを学びました。大学は、青山学院大学ですがジャズ研には正式には3年生から入り、1〜2年の時は東京外国語大学など他大学のサークルによく遊びにいきました。

 1986年渡米されましたが米国での生活、音楽活動はどのような状況でしたか。

 『神崎オン・ザ・ロード』を始めた頃、来日したアート・ペッパーと知り合ってアメリカにきたら電話をしてくれと電話番号を渡されました。丁度あらためて音楽を勉強したいと思っていたのでロスへ行こうと思った矢先アートは亡くなってしましました。本当に残念でした。
でも1年遅れてアメリカへ行きました。2年間程は、日本での活動は停止して3ヶ月行っては帰って来てまた行くというようなことをずっとしていました。日本ではテレビの深夜番組に出演しテーマ音楽も作曲したりしていましたが、1988年、レコード会社からオファーがあり「KANZAKI」というアルバムをつくりました。

 スムース・ジャズは米国では一つのジャンルとして認知されていまるようですね。

 はい、そうですね。日本ではフュージョンといってもタタミ掛けるような音楽が多いですが、私は引いた音楽も大事だと思っています。アメリカではビジネスマン向けの上質なBGMとしても使われたりしています。また、気候も西海岸などではカラッとしていてスムース・ジャズに合っていますね。インドネシアでも気候が合うのかジャバ・ジャズ・フェスティバルなどでアメリカのスムース・ジャズ・ミュージシャンが多く出演していますね。
また、スムース・ジャズのプレイヤーは、ライブでは、CDとはまた違う、熱い演奏もします。

 3曲目の“Body and Soul”はミディアム・スローで演奏していますが、これもスムース・ジャズと考えていいのですか。

 先程も言いましたが、私は元々ジャズが好きです。ですからジャズに近いフュージョンがあってもいいと思っているんです。日本ではジャズファンにはフュージョンを毛嫌いする傾向がありますが“Body and Soul”のような分かり易いスタンダードジャズのフィールがあるフュージョンであれば、私のメッセージが伝わると思いました。
私は、フュージョンでプロ・デビューしたので、ロック系でないフュージョンのよさをジャズファンや一般の人達にも聴いてもらいたいと思っていますが、この“Body and Soul”は、敢えて言うなら、私自身のジャズです。

 アドリブが、実によく歌っていて私が今まで聞いた“Body and Soul”ではベストのパフォーマンスですね。パウロとの掛け合いもすばらしいですね。

 ありがとうございます。そう言っていただけるとうれしいです。

 ところで、神崎さんがリスペクトしているミュージシャンは誰ですか。

 マイルス・デイビス、アート・ペッパー、それに、武満徹です。
マイルスは、言い方が難しいですが”普通に”演奏しているところがすごいですね。リズムの凄さや理論など感じさせない深いとこにいるミュージシャンで次元が高いですね。
アート・ペッパーはブルース・ミュージシャンだと思っています。ジャズはブルースから生まれた音楽で、マイルスも自分はブルースをやってきただけだと自伝に書いていたと思いますが、アートもブルースをやっていたと感じますね。
武満徹さんの音楽には、非常にエロティシズムを感じます。”生きる”という中には下世話な部分もあるわけですが、武満さんの音楽にはそのあたりににエロティシズムとブルースを感じますね。

音楽に興味のない一般の人にも感動してもらえるようなクオーリティーの高い音楽を演奏して行きたいと思っています。

 演奏を通じてどのようなことをリスナーへ伝えたいと思っていますか。

 ステージには大きいステージも小さなステージもあると思いますが、例えば、スーパーの店頭で小さい箱の上に載って演奏しても感動させることができる演奏をしたいと思っています。音楽に興味のない一般の人にも感動してもらえるような音楽ですね。
音楽は料理などと同じで決して特別なものではなくいいものは誰でもいいと感じて貰えるものだと思います。
何処で演奏してもクォリティーの高い音楽を演奏して行きたいと思います。
今日も、韓国のチョン・キョンファというクラシックのバイオリニストですが”ユーモレスク”といった誰でも知っている小品ですが感動しましたね。

 神崎さんのアルバムはクラブDJにも使用されているそうですが、クラブ・ジャズについてはどのように思いますか。

 .どんどんやってほしいですね。インターネットで多くの情報が入ってくる時代ですから異なる文化を取り入れて音楽も変わってきていいと思います。
クラブ・ジャズと言っても、特殊なものではないと思うので、プレイヤーは、言葉や見せ方等のパッケージングにこだわらず、私の言う「一般の人々」にどんどん広めていって欲しいですね。
私自身もクラブ・ジャズの連中とセッションしています。今回のアルバムにもDJでリミキサーの田中圭吾君が参加しています。彼はiTuneのランクでヒットをとばしている実力派です。

 前作の『OZONIC』もそうでしたが、なぜミニ・アルバムにしているのですか。
こんなすばらしい演奏ならフル・アルバムでもっと聞きたいと思いますが。

 前作は大手町カフェの企画ものでした。
今作は私が信頼している周りのミュージシャン、神崎ファミリーによるレコーディングです。5曲でコンセプトを充分に伝えられると思ったのでミニ・アルバムにしました。

 CDではフルで70分、レコード2枚分ですよね。無駄な部分が多いし疲れますね。

 神崎さんは、ジャズ・ミュージシャンとしての活動以外に、TV、 CM音楽の制作、プロデュース等の活動もやっていますが、現在の活動状況と今後の活動計画を教えてください。

 私自身はライブやテレビ音楽の制作の仕事のほかに、武蔵野美術大学の特別講師を行ったり、テレビも10月頃から出演する話が進んでいます。
エイジアン・ソウル・ブラザースの活動は日本ではまだ難しいですね。サンディエゴやハワイから公演のオファーをもらっています。
これからもフュージョンを盛り上げる活動をしていきたいですし、アメリカでの活動を増やしていきます。
また、今回のアルバム制作でやり残したこともあるのでエイジアン・ソウル・ブラザースの2ndアルバムも作りたいと思っています。

 JazzPageの読者の皆様にメッセージをお願いします。

 ひとくちにフュージョンと言っても色々な種類がありますので是非今回のニュー・アルバム「THE A.S.B ft. KANZAKI & MICHAEL PAULO 」を聞いてください。
よろしくお願いします。

-----神崎さんのロック系でないフュージョンへのこだわりを強く感じたインタビューでした。----

(2009.8)

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