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松本 茜 −「フィニアスに恋して」リリースにあたり−
今はビ・バップ中心ですね。ビ・バップにはいいものが残っていますし、自分の内面が出しやすいスタイルだと思っています。

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−デビュー・アルバム「フィニアスに恋して」が発売になりましたがどんな気分ですか。

作っている時はあまり実感が湧かなかったですが先日新宿のタワレコで実物を確認したら実感がわきました。


−メンバーの人選はどのようにしたのですか。

山下弘治(B)、正清泉(Ds)はレギラーメンバーです。ですからリラックスして普通に演奏できました。

−レコーディングが1日と短いですが。

普通どれくら掛けてレコーディングするのか知りませんでした。
当初7曲でミニ・アルバムの予定だったので1日しかスタジオをとっていなかったようです。実際にレコーディングを行うと内容も満足いくもので収録の長さも充分あったのでフル・アルバムで発売することになったのです。
当日は私の20歳の誕生日の3日前ということでレコーディングの前にコロムビアさんからケーキをプレゼントしていただき皆さんに祝っていただきました。
曲はテイクを重ねて出来のいいものをアルバムに入れてもらいました。 

 

−フィニアスが好きになったのはピアノの先生にすすめられた初めてのジャズのCDがフィニアスだったそうですが。

はい、たしか「ワールド・オブ・ピアノ!」だったと思います。いま、彼のCDは手に入りにくいですね。
フィニアスの魅力はギャップが大きいところです。ピアノを引き倒すような豪快なところと、心の底からのにじみ出るバラッドも演奏するという幅の広さです。ブルージーなところも私の好みにピッタリなんです。

 

−選曲はどのようにしたのですか。オリジナルも2曲ありますね。曲ごとにコメントをお願いします。

はい基本的にライブでよくやっている曲を選曲しました。

1. SPEAK LOW (Kurt Weill) 
この曲はライブでよくやっている曲で私が一番好きな曲です。ですから弾きやすいですし1曲目にもってきました。

2. STORY (Akane Matsumoto) 
大学に入るため上京する前に故郷の記憶を曲に残して置きたいという気持ちでつくったものです。

3. BROADWAY (B. Bird/T. McRae/H. Woode) 
ジュニア・マンスの演奏でとても気に入っていたので是非入れたいと思った曲です。

4. SOON (George Gershwin) 
私、ガーシュインが好きで特にこの曲は好きな方なんです。ライブでもよく演奏しています。

5. SUGAR RAY (Phineas Newborn Jr.)
これはフィニアスの代表的なナンバーなので是非入れたかった曲です。やはり「ウィー・スリー」での演奏が好きですね。

6. ALL THE THINGS YOU ARE (Oscar Hammerstein II & Jerome Kern ) 
この曲も私の好きな曲で3拍子でやりたいと思っていました。何とかかたちになってきたので入れることにしました。

7. HALF BLOOD (Akane Matsumoto) 
小学生の頃に遊びで何曲か曲をつくていましてそのスコアを最近引っ張り出してリメイクしたものです。その頃から楽譜に忠実に弾くことが好きでなかったので自分で曲をつくっていました。

 

−鳥取のご出身だそうですが、鳥取のジャズの状況を教えてください。

ライブハウスが1軒あるだけですね。ジャズ・ミュージシャンが来て演奏することもたまにあります。
私がはじめて生でジャズを聞いたのは小学校の2年生のときで北村英治さんのコンサートでした。それがきっかけでジャズに興味を持ちましたが練習は仲間がいないのではほとんど1人でピアノを弾いていました。
高校の時に近くの大学のジャズ研に入れてもらって初めてグループでの演奏を行いました。そうしている内に自分の実力がどれくらいなのか試したくなってジャズのコンテストに出場しました。浅草ジャズコンテストでは大人の人が大多数で私のような10代はいませんでしたがソロプレーヤー部門で金賞をいただき励みになりました。

 

−現在、日大芸術学部に在学中だそうですが大学でジャズをやっているのですか。

いいえ、専攻は放送学科です。でも放送関係に進むつもりはなくて単に上京するには大学進学しか親が認めてくれなかったので口実ですね。日大にはピアノでの実績があったので”自己推薦”という特別枠で入学しました。
日大にはジャズ・バンドやジャズ研がないので早稲田大学のジャズ研に参加させてもらって演奏していました。

 

−ジャズの理論や演奏技術はどのように習得したのですか。

ほとんど独学です。CDコピーやCDに合わせてプレイしたりして勉強しました。

 

−高校生の時バークレイの奨学金の試験に合格したそうですが。

えー。それも腕試しで受けてみたら受かっちゃったのです。でもその時バークレイに行く気はありませんでした。
周りに方にも色々聞きましたが北村英治さんのマネージャーの方からはまだ日本にいても吸収できることが沢山ある。「行ける時は自然な流れで行ける様になる」と言われましたね。でもピアノの山下弘治さんからは「アメリカにはジャズのスイングが日常の中にある」という話も聞いているので、現在はアメリカに行ってみたいという気持ちが強くなっています。何か自分の音楽が変われそうな気がするのでいつか行ってみたいと思います。

 

−プロとして活動はいつから始めたのですか。

自分ではいつからプロかはよく判らないですが、ライブでお客さんと向かう時に演奏者として立つ時はプロ意識を持たなければいけないと思っています。
ギャラをもらったという意味では地元でマグロの解体ショーのBGMを演奏した高校生の時ですね。

 

−いまジャズは色々なスタイルがありますがフュージョンやクラブジャズなどはどう思いますか。

音楽自体は好きです。でも私は今はビ・バップ中心ですね。
ビ・バップにはいいものが残っていますし、自分の内面が出しやすいスタイルだと思っています。ビ・バップって熱くてエネルギッシュな要素がありますが、私自身こう見えて結構感情的に熱いものを持っているんですよ。

 

−フィニアス以外に関心のあるピアニストは?

オスカー・ピーターソンがまずあげられます。他にはジュニア・マンス、トミー・フラナガン、ホレス・シルバー、バリー・ハリス、ハンク・ジョーンズなど沢山います。

 

−今後どのような音楽をやりたいですか。

ライブ活動を中心にしてもっとバンドの中でのサウンドをいい物にしていきたいと思っています。音楽に厚みが出てくればいいですね。
そして、聞き手の皆様には私の演奏する曲に対して何らかの共通点、共感を持っていただければ嬉しいです。
ライブはCDの発売前は月に1,2回でしたが最近は4,5回に増えて来ました。これからもっと増やして私の音楽を沢山に人に聞いて頂きたいと思っています。

どうもありがとうございました。
是非、本格的なジャズ・ピアニストとしてJ-ジャズを牽引して行く大きなミュージシャンになってください。

謙虚で素直な感じのいいお嬢さんでした。(2008.6.6)

 

 

 

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