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たまたま友人が当時ロリンズのメンバーだったマークの知り合いだったので紹介してもらいました。彼のアパートにはよく訪れましたし彼の奥さんのジュディともとても親しい仲です。

 3年ぶりの新譜「エンド・オブ・ア・ラブ・アフェアー」が発売されました。すばらしいジャズ・ボーカル・アルバムになっていますが、どのうような所を聴いてほしいですか。

 軽い打ち合わせをしただけで、リハーサルはありませんでしたが、全ての曲に渡って、私の歌に対して愛情あふれたメンバーのプレーを聴いていただけると思います。
タイトル曲のEnd of a love affairですが、マークは自分の前作でこの曲をアップテンポの4ビートで取り上げているのですが、今回ラテンのアレンジでやりたいと言われ、この曲自体は失恋の曲ではありますが、どう歌おうかと思った時、Lover come back to meが悲しい曲であるにも関わらず、多くはアップテンポの軽快な感じで歌われていることを思い起こし、この様な表現になりました。


 前作同様ピアノのマーク・ソースキンの参加が成功要因の一つと思います。彼とのつながりをご紹介してください。

 私は、昔からソニー・ロリンズが大好きで、NYに住んでいる頃コンサートには良く足を運んでいました。たまたま友人が当時ロリンズのメンバーだったマークの知り合いだったので紹介してもらいました。彼のアパートにはよく訪れましたし彼の奥さんのジュディともとても親しい仲です。
前回のCD発売ライブに彼から是非呼んで欲しいと言われて1週間共にしたことでとても楽しい時間を過すことが出来ました。それがあって、ツアー以来2年間、マークから次のアルバムを早く作ろうよと、メールや電話をよくもらっていました。先日、レーベルからのサンプルCDを彼とメンバーに送りましたら、早速電話が来て、満足いく出来だと感激してくれてとても嬉しかったです。


 本作の選曲はどのように行いましたか。

前作は、マークがやりたい曲を主に取り上げたので、私のレパトリーでなかったものにも挑戦しましたが、今回は彼からやりたいと言われたこともあり、私がやりたい曲を強行に出しました。いくら歌が中心のアルバムでも、共演者が好まない曲を出すのは、アレンジをするに於いても気がのらないのが解ります。例えば大手のレコード会社の企画等で、多額のお金を支払って“これをやって下さい”と仕事をお願いするのとは違いますから。マークは、"End Of A Love Affair"、"Little Girl Blue"、"Once I Loved"、"People"を選曲してきました。それ以外8曲は、私から提案しました。選曲が決まったのは9月初旬です。


 アレンジがしっかりと行われているようですが、事前のやりとりはどのように行いましたか。

 曲を決めた時点で、私が歌いたいテンポとリズムを電話でやり取りしました。9月中旬にマークはアレンジに取りかかり、“今日はこれとこれをやった!”とその都度電話して来てくれて、どんな感じか軽く受話器の向こうでピアノを弾いてくれたりもしました。
ですが、実際に譜面を手にしたのは当日現場で、他のメンバーもreading(初見)は、流石でした。イントロは、決まっていてもエンディングはその場で対応したのが殆どです。
ただ、"People"、"End Of A Love Affair"は、スペシャルアレンジと言うことでマークが弾いたピアノのアレンジをCD-Rに入れて送って来て、これにメロディをのせて欲しいということでした。


初心者の段階では模倣もあると思いますが、模倣からの発展は難しいと考えます。
 多くのシンガーが歌っているスタンダードが中心ですが、あなた自身の個性をどのように表現しましたか。

 他のシンガーが歌っているものを参考にせず、オリジナルメロディを自分がどう歌うかということに取り組みました。それは、アメリカで暮らしていた時からすごく感じたことです。初心者の段階では模倣もあると思いますが、模倣からの発展は難しいと考えます。
そして、メンバーが淡々と演奏するのでなく私の歌を聴いてバッキングしてくれたことにより私の歌をより引き出してくれたと感じます。


 今作もニューヨーク録音ですが当日は順調に行きましたか。

 今回は、初日7曲をトリオで4時間、2日目はアルトサックスでのカルテットで5曲を4時間半で終了ました。エンジニアのマイケルがあまりの時間の短さに驚いた程です。
Take-1のみが、3曲、Take-2が殆どで、"People"だけはアレンジが難しく全員が把握するまでに時間がかかり、Take-3でこれが最も時間がかかった曲でした。ベースのジェイ・アンダーソンは、初対面でしたが、"Mack The Knife"のベースとのDuoもカウント無しで私の歌を聴いて反応してくれたのが素晴らしかったです。"Love For Sale"は、Take-1でエンディングもフェイド・アウトで良い感じだったのですが、もう一回やろうとなり、エンディングでは遊んでいるうちに上手くパターンが出来て全員で終われたので、こっちを採用しようとなりました。想像以上に楽しく過せました。


 1989年に渡米しニューヨークに8年間住みジャズの勉強とライブ活動を行って来たそうですが、ニューヨークはその当時と状況は変わっていますか。

 私が住んでいたころより、日本の食材を扱うお店が増えて随分楽になったと思いました。
イーストビレッジ辺りには、スーパーマーケット、蕎麦屋や日本のラーメン屋さん、日本のパン屋、お好み焼き店なんかもあり不自由を感じません。私が住み始めた1989年には、わざわざニュージャージのヤオハンにバスで通って日本の食材を手に入れていましたから。

やはり、エラが最高に素晴らしいと思います。

 あなたのボーカルはブルースを感じる本格的なジャズ・ボーカルですが影響を受けたミュージシャンは誰ですか。

 10代にマヘリア・ジャクソン、アリサ・フランクリン、エタ・ジェームス、マリーナ・ショウ等を良く聴いていました。その影響もあると思うのですが、ブルースっぽいものを歌うのはあまり苦労がいりません。ですが、スタンダードを歌う様になって、もっと洗練されたものに引かれていきました。やはり、エラが最高に素晴らしいと思います。
楽器の方は、ソニー・ロリンズ、マイルス・デイビスに関わる様々なユニットを20代に聴きまくり更にJazzにのめり込みました。


  最近、聞いているCDはどのようなものですか。

 ボーカルでは、Ann Hampton Callaway、Karrin Allysonですね。Ann Hampton Callawayは、日本ではあまり話題になりませんが、アメリカではかなり注目されているJazzボーカリストです。彼女らのアルバムでは共演者の演奏も素晴らしいので楽しめます。


  ジャズ・ボーカルとポップス・ボーカルの違いは何と思いますか。

 これは色々ある一つのことですが、ジャズを演奏するにはルールがあります。ボーカルと言えどそれを知らずにただ歌詞を歌っていても、他の演奏者とはコラボ出来ないと思います。逆にポップスに関しては、それは特に必要ないと思うのです。


  アメリカ永住権を取得したのに現在は日本で活動しているのはなぜですか。

 アメリカでは保険がないと医療費が高くて苦労しました。救急車を呼んでも$500(\50,000)かかります。その不安からフルタイムで働いて企業の保険を持ちましたが、税金がすごく高くて年間に私の収入で約$12,000(当時約\1.400.000)程取られていましたので、それを払う為に昼間の仕事をして、夜歌いに行くと言うのが大変でした。
音楽だけに時間を使いたいと思っても無理でした。その想いを持って帰国しました。

知らない曲を聴いて、この曲は何ですか?と、聴いた方に興味を持ってもらえる様な歌手を目指します。
  どのような歌手になりたいと思っていますか。

 知らない曲を聴いて、この曲は何ですか?と、聴いた方に興味を持ってもらえる様な歌手を目指します。


  今後の抱負を教えてください。

 スタンダードと言われる名曲の中で、自分がステージで取り上げて歌って来たものはスタンダード曲で300余りあると思います。それぞれの曲を自分でもっと掘り下げて行きたいですし、また新たな曲にも挑戦したいと思うばかりです。
2ndCDが出たばかりですが、次の作品のことに心が躍ります。
その前に、9月にNYの彼らとどんな風景が描けるのかとても楽しみです!

(2009.6)