Jazz Pageは日本のジャズを中心に新譜アルバムやミュージシャンの活動状況などジャズ情報を毎週発信しています。


----- ピアニストのドン・フリードマンのカルテットがサポートしていますが、フリードマンとはどのようなつながりですか。ミュージシャンとしてどのように思っていますか。

大阪のJazz on topの清水さんがドンと以前レコーディングをしてらっしゃって、そこからの紹介で今回のレコーディングにつながりました。
  ドンは「サークル・ワルツ」が代表作なので、叙情派なのかと思っていました。もちろん繊細なピアノも素晴らしいのですが、パッショニットなフレーズも感動モノで、とても75歳とは思えないタフなプレイをしてくれました。(現在は76歳に。)
私にとっては、最早「神」です。


----- メンバーはいずれも腕達者ですね。彼らを紹介してください。

テナーのティム・アマコストは、自己のバンドの他、ビッグバンドで大活躍の売れっ子ミュージシャンです。お父さんが元駐日大使ですので幼少から長年日本に住んでいたこともあり、親日家で何度も来日しています。アグレッシブなプレイが特徴ですが、それでいてとても暖かい人です。   ベースのフィル・パロンビは、ドンの現在のレギュラーメンバーで、又彼のリーダーアルバムのピアニストがドン、というほど密接な関係にある人です。参加アルバムがグラミーを受賞したこともあり、今のニューヨークではピカイチの存在のベーシストです。
  ドラムのトニー・ジェファーソンは、シーラ・ジョーダン等シンガーとの共演も多い、これまたパッショニットなミュージシャンです。ミュージカルや映画の仕事も数多くこなしているようで、やはり今のニューヨークのジャズシーンで大活躍しているドラマーです。


----- レコーディングはニューヨークで行いましたが、スムーズに行きましたか。リハーサル 等充分に出来ましたか。

大変スムーズに行きました!日程の関係上単身で行かなければならず、又、3・11の震災後間もないこともあり当初は凄く不安だったのですが、杞憂に終わりました!リハーサルは予め日を取ってあり、メンバーみんながどの曲も凄く建設的に「もっと良いものになるように」と考えてくれました。
  レコーディングも2日間の日程を組んでいたのですが、あまりのスムーズさに、トータルで10時間かからず録音を終了できました。怖いくらいスムーズでした(笑)
 みんなが私の気持ちに寄り添ってくれたのが大きかったと思います。


----- フリードマンからは、どのようなアドバイスがありましたか。

普通は日本から行くボーカリストには、通訳かプロデューサーがつきますが、私は今回一人でしたので、ドンに限らずみんなが和やかな雰囲気を作ってくれました。リハーサルの一曲目に「ウオーミングアップには最適だから。」ということでRoute 66をやりました。これでドンが、「Yuko! Greatだよ!何も心配することは無い。気持ちの赴くまま歌えばイイよ!」と言ってくれたことが、レコーディングでのリラックスにつながりました。


----- このアルバムのどのようなところを聴いてほしいですか。

レコーディングでは何よりその場の「空気感」を大切にしました。演奏も含め、少々の荒っぽさは気にしないで、勢いやその場でしか出せない微妙なニュアンスを聞いてもらえれば。私のキャッチコピーに「5オクターブの声域、七色の声」とあります。それはもちろんセールスの一つですが、何よりもニューヨークならではの「しげのゆうこ」グルーヴを聞いてもらいたいです。Yardbird Suiteのスキャットも、Watermelon Manの勢いも、Mistyのドンと二人だけの世界観も…。


----- ジャズメン・オリジナルが多く、ボーカルでは余り取り上げない曲が多いと思いますが、選曲はどのように行ったのですか。

歌うことよりずっと前、中学生の頃からピアノでジャズの曲をコピーしていました。昔は歌モノよりインストルメンタルを聞くことが多かったんです。そんなバックグラウンドもあり、今回のコンセプトを「ジャズ・コンポジションズ(ジャズメンが作った曲)」オンリーにしよう!と24JAZZ JAPANの社長と50曲もの候補曲をあげました。その中から、1ミュージシャン1曲という縛りでバランスを考え選曲しました。


----- ジョン・ヘンドリックスの曲が多いですが、彼をどのように思っていますか。

信じられない才能!彼は多くのジャズコンポジションズの曲に詞をつけています。驚くべきことです!ジャズコンポジションは元々が器楽のために作られた曲ですので、歌詞を乗せるのはかなりの無理があります。そこを何とかしてさらに韻まで踏み…!さらにはLambert, Hendrics and Rossで聴かせる彼の超早口言葉的歌唱!Now’s The Timeでの歌唱なんて、人間業じゃない!


----- 本格的なスキャットを随所で聴かせてくれますが、楽器でアドリブ演奏などの経験があるのですか?

本職のピアニストの足元にも及びませんが、仕事でピアノの弾き語りをすることもあり、ピアノは昔から弾いています。ですからアドリブの経験はもちろんあります。福田重男さんが私の心の師匠です!その他にも私が主宰するボーカルスクール、パステルドロップで講師をしてくれている森下滋くんにアドバイスをもらったりしています。もちろんセッションに参加もしますよ。


----- “Watermelon Man”ではスキャットでドラムスと4バースやソロの指示など行うなどバックのミュージシャンをリードしていますが、ご苦労はなかったのですか。

私がミュージシャンをリードしても、誰からも文句は言われませんでしたね。いやむしろ、歓迎されたくらいで(笑)。メンバー曰く、「日本の女性ボーカルはなかなかそういうことが出来ないので今回のレコーディングは凄くやりやすかった!」とのこと。
前作「月の誘惑」で管アレンジをしてくれたテナーの三木俊雄さんが、その昔私にアドバイスをくれたことがあったんです。「しげのさん、本格的なボーカリストになりたいなら、アレンジや楽器のことも色々勉強して、バンドマスターになれるようにしなければダメだよ。」と。それが今回は生きたと思います。


----- アレンジは誰が行ったのですか。

基本的な部分は私がしました。そしてリハーサルの時にドンがイントロやエンディングを修正してくれました。


----- アップテンポの曲では大変パワフルに歌っていますね。元気の源は何ですか。日頃、どのようなトレーニングや健康管理を行っていますか。

同じ質問をスクールの生徒さんからも頻繁に受けます。
  とにかく、一に睡眠、二に睡眠!あとはストレスを溜めないこと!
  もちろん適度な運動とかうがいをするとか、基本的なことはしていると思いますが。


----- 今後の抱負を聞かせてください。

ジャズは本当にカッコいい音楽です!そのカッコ良さをもっともっと追求して行きたい!そして、日ごろジャズをあまり聴かない人にも「なんてカッコいいことをやっているんだろう!」と思ってもらえるように、そしてそれを伝えられる存在になりたいですね。

以上
(2011.9)

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