
この記事は音楽配信サービスMaXMuseに掲載されたものですが同サービスが終了となったので筆者のサイトにアーカイヴとして掲載するものです。
−『夜間飛行』というと香水とか魅惑的なことを連想しますが、タイトルの意味合いから教えていただけないでしょうか
寺井:『夜間飛行』というタイトルはスタッフがつけてくれたのですがミステリアスな楽曲をイメー
していただけると思います。
−アルバムコンセプト、テーマは/どのような思いが込められていますか
寺井:アルバムづくりは、最初からこういう方向にしようといってつくるのと、やりながらつくり上げていく方法があると思いますが、今回は後者です。
『ドリームダンシング』のツアーが終わった昨年7月にすぐに次回のプロジェクトが立ち上がりました。そしてメンバーからオリジナルが持ち込まれライブでアイデアを出し合いながら徐々に形をつくっていき、秋のレコーディングに入ったという経緯です。
その前に地獄のレコーディング・リハというのをやりましたけど。
出来上がった『夜間飛行』はレギラー・バンドならではのサウンドになったと思います。
−前作の『ドリームダンシング』 では黒から赤へイメージチェンジしましたが、今回は何色ですか
寺井:黒か紫といったところかな。大人のイメージですよね。
−寺井さんの演奏は、ジャズという枠から超越しタンゴやフラメンコなど他ジャンルの音楽を取り入れ、寺井ワールドという独自の世界を表現しているように思いますが。
寺井:カバー曲はジャンルは問わないという考えです。どうジャズるかというこが大事です。それとメンバーとの会話がポイントですね。
大切なのはオリジナルのイメージを守りつつ私たちの柔軟なさのなかでオリジナリティーを組み込んでいくことです。いくらアドリブが大事でも元のイメージが全く無くなっては意味がないと思っています。
−最近のジャズはアレンジも重視されているように思いますが。
寺井:はい、アレンジはとても大事です。
『夜間飛行』では1〜6曲目が私、7曲目が北島、8曲目は私と北島、10曲目は私がアレンジを担当しました。
−寺井さんの演奏はテーマの部分とアドリブの部分が区別付かないくらいメロディックな演奏でメロディーメーカーという言葉はさんのためにあるのではないかと思いますが。
寺井:演奏する前に楽曲をこう弾きたいというイメージを明確に持ちますが、アドリブは瞬間に生まれます。
いい演奏、いいアドリブを行うためには自分を絶えずリフレッシュすることを心がけています。これは楽器を練習することよりも大事です。
そのためには必ず1日30分お茶を飲むことを行ったり、生活のリズムを守り体調を保持することを行っています。
−ケニー・バロンはさんにとって恩人でもありますが、どのような人ですか
寺井:柔軟性のある、とても視野の広い方です。一緒にレコーディングを行ってときも決して言葉で言わないんですね。とにかく自由にやっていいよと言ってくれるだけです。
これって本当にすごいことですよね。
−尊敬するミュージシャンは誰ですか
寺井:私が最初に影響を受けたのはビル・エバンスです。やはりアンテナにピントきましたね。その後は、私と共演してくださったハービー・ハンコックをはじめ多くのミュージシャンから影響を受けまた尊敬しています。
−ハービーといえば、東京ジャズ2002での寺井さんの活躍は素晴らしかったですね。世界に尚子の名前を知らしめたエポックメイキングな出来事だったのではないでしょうか。SUPER UNITでの堂々とした演奏は忘れられません。
寺井:はい。あの時は朝、ハービーから事務所の社長へ電話がかかってきたんです。それで11時くらいからリハーサルを少しやるはずだったのですが実際はサウンドチェックで終ってしまって、ぶっつけ本番でした。
でも、ハービーが自由に弾きたいようにやっていいよと言ってくれたので思い切り演奏しました。
−そのときマイケル・ブレッカーも出演していてインタビューする機会があり、日本人ミュジシャンで一番印象に残った人は誰かと聞いたら、寺井尚子と答えていました。日本のジャズの水準は非常に高いと思いますがいかがですか。
寺井:日本ジャズは繊細ですばらしいと思います。また、みんな一生懸命勉強していますね。今の若い人はとてもダイナミクな演奏が出来ると思います。
−寺井さんは国内ではトップ・ミュージシャンの地位を確固たるものにしていると思います。是非、これからは世界へ向けて一層活躍されることを期待しています。
今日はとても貴重なお話をありがとうございました。