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Jazz Pageインタビュー
八木隆幸インタビュー

--- ジャズは個性を重視する音楽で、メンバーの選択も重要だと思います。 「イルミネーション」のレコーディングのメンバーはどのような経緯で決まったのですか。 また、アーティスト名を前作の「ティン・ティン・デオ」では八木隆幸トリオとしていましたが、本作では八木隆幸としていますが、なぜですか。

メンバーはもちろん音楽性が合うのが条件ですが、あまりにピッタリしすぎるのも音楽の広がりや、スリルが無くて面白くないですね。
そういう意味ではこのトリオはバランスがいいと思います。
ベースの金子さんはウォークした時の音の安定感、ラインの選択が素晴らしいのでお願いしました。 また管楽器のようにソロを取れる数少ないベーシストだと思います。
ドラムの高橋君は繊細さとダイナミックさを表現できる点でお願いしました。 今回のアルバムが以前よりダイナミックになっているのは彼のおかげです。
特に演奏に関しては指示は出さなかったですが、随所に彼らしい表現が現れていると思います 。
八木隆幸トリオから八木隆幸への変更の理由は特にありません。


--- 「イルミネーション」では、ジャズメン・オリジナル中心の選曲ですが、皆、八木さんがリスペクトしているミュージシャンですか。

もちろん、尊敬しています。ただそれだけでは無く、素材として魅力的な曲を中心に選びました。
あとはアルバムを通しての曲構成も考えましたので、まず曲を選ぶのが先でした。


--- 「イルミネーション」では、どのようなところを聞いてほしいですか。

インプロビゼーションではどれだけ歌っているか、という所に気を使っています。やはり、いろんな意味でやっぱりメロディアスなものが好きです。
今回のアルバムはハードな素材をメロディアスに演奏しようとした所を聴いて貰えれば嬉しいです。


--- スタンダードは2曲ですが、スタンダードについてはどのように考えていますか。

魅力的な曲も多いですが、以前まではスタンダード中心だったので、今回は雰囲気を変えてみようと思いました。
ただバラード等は出来るだけ歌詞をイメージして弾くようにしています。


--- あなたは、最初、酒井潮にオルガンを師事しましたが、その後、ピアノに転向しました。転向した理由は何ですか。

ジミー・スミス(ORG)が大好きだったんです。絶対オルガンがやりたいと思ったんですが、誰も教えてくれる人が居なくて。
そこに、酒井さんが月一で京都(地元)にもレッスンに来られていると知って、習いはじめました。
ピアノ転向の理由は、 単純にピアノのほうが仕事が多かったからです(笑)。当時は今とちがってオルガンブームも無く、オルガンの仕事は無かったですね。しかも今みたいにコンパクトでなく一人では持ち上がらないほど重く、車も持っていなかったので、自然とピアノに移りました。でもオルガンはもちろん今でも大好きです。


--- 1991年、ニューヨークへ渡り、ジャズの研鑽に努めましたが、どのような活動を行ったのですか。

まずは自分の憧れのジャズジャイアント達の演奏を聴く事、そしてレッスンを受ける事でした。しかし、実際はジャムセッションが一番役に立ちました。
当時のUniversitiy of the street 等に毎週金土と通って、Frank Hewitt(P) やSacha Perry(P)等のピアニストの演奏をよく肩越しに見ました。
マンハッタンに安いスタジオを借りて、毎日3時間ほど練習して夜はジャムに行くか、ライヴを見るという毎日でした。
Sachaとは個人的に親しくなりよく、技術交換などして練習しました。
この頃のアンダーグランドのビバップミュージシャンとの交流が一番勉強になりました。
特に印象に残っているのは、Frank(Pf),Sacha(Pf)のほか、Gil Coggins(Pf),Jimmy Vassa(As)等です。


--- 2005年、浅草ジャズ・コンテストでグランプリを受賞されました。その時の気分はいかがでしたか。その後の音楽活動は変わりましたか。

色んな人にレッスンは受けましたが、どちらかというとそのエッセンスを吸収するというやりかたで、結局技術的な事は独学に近いので、 そんな分自分のスタイルが受け入れられたという事で嬉しかったです。ただ、コンテストは東京に来たばかりで、早く名前を知って貰うという事が目的だったのですが、状況は特にそれほど変わらなかったです(笑)。


--- あなたのピアノ・スタイルはオーソドックスでジャズの王道を行くものと思います。最近のジャズは多様化していますが、ジャズの現状と将来をどのように見ていますか。

ありがとうございます。最初に師事した酒井潮(Org)さんの影響が強いと思います。それにやはりビバップが自分にとって一番訴えてくる音楽なので。 今は、伝統的とか革新とかにこだわらずにピアノの表現力を伸ばしたいと思っています。
ジャズ界についての感想ですが、 一昔前のように流行のスタイルに右に習え、という現象はなくなりました。情報が発達したことで古典から最先端まで満遍なく学べる状況が出来ていますし、何が古いとか新しいとかという概念も無くなりました。ただ今まで誰もやらなかった革新的な音楽が生まれることは難しくなっていると思います。
将来についてですが、ジャズというカテゴリ事態重要でなくなると思います。ただ、音楽ということで。良い音楽は受け入れられ、残るように。
そこであえてビバップとブルースを機軸としたアコースティックな音楽をやりたいんです。
加工された音楽ではどうにでも作れますから、人前でパフォーマンスすることが重要で演奏者の原点だと思います。
ピアニストとしての表現力、テクニック、音楽性をより磨いてお客さんと対峙し続けたいです。


--- あなたが好きなピアニストは誰ですか。よく聞くCDは何ですか。

時代を問わず、音楽性の素晴らしさで テディ・ウィルソン、アート・テイタム、バド・パウエル、オスカー・ピーターソン、フィニアス・ニューボーン、テテ・モントリュー、マルグリュー・ミラー、その他いっぱい居ます。
好きなアルバムは、一枚挙げるとすれば、ヴァーブのアート・テイタム、「ソロ・マスターピース」です。


--- 穐吉敏子は、ツアー中でも鍵盤模型を携えて毎日練習しているそうですが、あなたは、1日、何時間練習していますか。ミュージシャンとして日頃心がけていることは何ですか。

僕も欲しいんですよ!練習用鍵盤!(笑)。どこかで作って貰えないでしょうか。練習は疲れない程度に平均2〜3時間というところです。本当はもっと練習したいんですが。
心がけている事は、常に新鮮な気持ちでピアノに向かい、好奇心を持ち続けて演奏することです。毎日自分が生まれ変わったような感じでピアノを弾きたいです。


--- 今後の抱負を聞かせてください。

自分は演奏者であり続けたいという事です。
人前でピアノを演奏し続けること。映像(TVやDVD)や音源(CD等)も大事ですが、いつまでもピアニストとしてステージに立ちたいと思っています。
その為に必要な技術、感性を磨いて行きたいです。

(2010.9.1)

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