月29日、銀座・ソニービルで伊藤君子+小曽根真のデュオが行われた。
昨年のモントルー・ジャズフェスティバルで行われたステージの再演である。
全編ヴォーカルとピアノのデュオという企画は日本では極めて珍しい組み合わせであり、お互いそれなりの力量がなければ為し得ないことである。



者の間でどのようなインタープレイが行われるかが、興味の的であったが、 さすが、日本のトップシンガーである伊藤と15年ほど前、米・CBSで日本人初の専属契約で輝かしいデビュー を飾った実力の持ち主・小曽根、内容のあるスリリングなステージであった。

つものように「小豆島生まれの大年増、伊藤君子です。」と自己紹介からステージははじまった。
この日はモントルーでのライブ録音であるCDの発売キャンペーンであり、CDの収録順と同じ順番で10曲が演奏された。
ライブで聴く伊藤は一層艶やかで伸びのある声でフォルテシモからピアニシモまでをいっぱいに使い、ダイナミックな歌唱を聴かせてくれた。
ジャズのヴォーカルの場合もどういう訳か私には”こぶし”が意識されてならないのだが、 彼女の場合美空ひばりを尊敬しているせいか、なんとなく演歌っぽい所が感じられる。
”Follow Me”や”My Funny Vallentine"などバラッドには独特な味が出てグーであるが、 ”Fly Me To The Moon””No More Blues”などスインギーな曲はあまりいただけない。
だいたい私はジャズ・ヴォーカルのバイブルとされているビリー・ホリデーの”こぶし”が肌に合わなくてどうしても好きになれないのです。
これは好みの問題ですね。

曽根のピアノは、伊藤を優しくつつみ、時には彼女を鼓舞するようなバッキングで好サポート。
ソロに回っても、ゴリゴリ弾いてヴォーカルの印象をかき消すようなことはせずコンボでの小曽根とはひと味違った演奏を聴かせてくれた。
ヴォーカルとのコンビネーションができるプレイヤーは本当に歌心を持った人でないと務まらない。

最後にアンコールで歌ったWestSideStoryの”Somewhere”がベスト。
(98.2.14)