2月21日、東京・青山円形劇場で「国府弘子コンサートツアー"Uncovered"」を聞いた。
10月21日に発売された「New York Uncovered」のアルバム発売ライブの一環。当日は真冬の厳しい寒さの中熱心なヒロコ・ファンが集り、400人くらいの会場は満席。
最近のヒロコはテレビによく出演しておりNHKの専属ではないかと思うほど。ジャズ・ミュージシャンで最もテレビ出演が多いのではないか。
会場は円形でステージも中央に丸く置かれ、これを客席が360度囲むというめずらしい設営。ヒロコは「肝試しのようだ」と言っていたが、ミュージシャンはかなりプレッシャーを感じるようだ。
当日は、ベースが八尋洋一、ドラムスが岩瀬立飛のスーパートリオ。恒例の”ひろこ倶楽部”ではゲストやサプライズなどあるのだが、今日は、ライブと同じいつものトリオのみでの演奏。新譜のタイトル通"Uncovered"(素)だ。

ステージには蓋を取り去ったフルコン・ピアノが置かれ、そのピアノを挟むようにドラムスとベースが配置される。まるで、ピアノバーでピアノを囲んだカウンター越しに聴いているようなすばらしくいい音だ。
ヒロコのオリジナル”ゴーイング・ゴーイング・オン”でスタート。しかし、いつもの演奏と少し違うのだ。アドリブに"Now The Time"のリフを入れるなど本格的ジャズ・アルバムを発表したせいかかなりジャージーな演奏。続く”モアザン・イエスタデイ”ではラテン・ビート、椅子から腰を浮かせながらパーカッシブなソロを聞かせるなど気合の入った演奏でさすがライブと関心。今日はいつもと違って生真面目な演奏に終始するのかと勘違いするほどだった。
CDと同じようにスローで”ベサメ・ムーチョ”、八尋のベースがギターのようにボサノバのリズムを刻む”アントニオの歌”、タッピーとの緊張感溢れるバトルを行った”ティコ・ティコ”、そしてフリーキーで起伏の富んだ”寿限無”と新譜からの曲を中心に第1部は進行した。
同じ曲なのにいつものメンバーだとこんなにも違うのかとビックリすほど適度な緊張感とリラックスが入り混じり表情豊かなサウンドだ。

休憩をはさんでの第2部では更にリラックスし、ヒロコのピアノ・ソロでスタート、途中でタッピーがシャンベというアフリカのコンガのような楽器を肩から提げ入場するという演出で客席とステージが一気に近くなった。
ベースの八尋とは1982年から一緒にプレイしてきており、ドラムのタッピーとは8年くらいになるというコンビネーションの良さで聴衆の反応に即応えるエンタテーメント性を持ち合わせている。それにしてえも、タッピーのドラムスは本当すばらしい。ヒロコは「タッピーは天才ドラマー」と言っていたが、著名ピアニストから引っ張りだこだが、ヒロコと一緒にプレイするときが最も彼のダイナミックで華麗

なドラミングを聞くことが出来る。
CDではフォービートのイメージが強かったが、このライブではボサノバ、ラテン調のリズムが目立ち同じ曲でも明るいハッピーな感じでジャズファン以外の聴衆にもアピールする。ヒロコの音楽の幅広い人気は作曲のすばらしさと機知に富んだアレンジの見事さだ。
アンコールでは、”見上げてごらん夜の星を”をピアノソロで、そして「これで終われば上品なコンサートなんですが、私たちはそうは行きません」と3人でラテンビートのヒロコのオリジナル”フィエスタ”で大いに盛り上がり終演となった。

今回のコンサートでは”マシュケナダ”でヒロコが弾き語りを行ったり、八尋やタッピーもボイスを披露するなどポップな面も見せてくれた。ジャズに軸足をきちんと置きながら、ジャズの範疇にとらわれないヒロコならではの魅力がてんこ盛りのコンサートであった。今年の”ひろこ倶楽部”は大いに楽しみだ。(2005.2.26)(写真提供:ピュアハート)