11月28日、銀座・ヤマハ・ホールで守屋純子オーケストラ"Plays Jazz Players' Favorites" と題したコンサートが行われた。
守屋純子は2枚のCDを発表しているが、いずれも好評で作編曲家としての評価を着実に高めている。
彼女のオーケストラも2000年度から日本芸術文化振興基金の助成事業となるなど、本格的なジャズを演奏する数少ないビッグバンドとして貴重な存在になっている。


リズム:守屋純子(P,Arrange)、納浩一(B)、大坂昌彦(DRS)
サックス:近藤和彦(AS)、緑川英徳(AS)、小池修(TS)、Andy Wolf(TS)、竹野昌邦(BS)
トロンボ-ン:中路英明、片岡雄三、佐藤春樹、河野聡
トランペット:エリック宮城、菊池成浩、木幡光邦、奥村晶

守屋のスコアは、アンサンブルを重視し、ビッグバンドならではの多彩でモダンなサウンドを聞かせてくれる。
モダンジャズのビッグバンド・アレンジャーといえばギル・エバンスが有名だが、初期のマイルスのために書いた”Sketches Of Spain”などでは木管をうまく使用し、ファンタジックですばらしいサウンドを聞かせているが、後期のマンデーナイト・オーケストラでは個人のアドリブを重視しすぎてビッグバンドのよさがまったく生かされていない。ビッグバンドはアンサンブルが命だ。
守屋はサックス・セクションをうまくつかい、硬質なモダンジャズをカラフルなサウンドに仕立て直している。
ファースト・ステージではW.ショーターの"Prince Of Darkness"、M.デビス"Blue In Green""All Blues"を取り上げオリジナル演奏とはまったくイメージの異なる演奏を披露した。
なかでも、"All Blues"は、オリジナルの6/8拍子のもの悲しい感じとは異なり、16ビートでアグレッシブなサウンドに変貌、後半、4ビートや6/8も顔を出すなど変化に富んだアレンジで楽しませてくれた。

セカンド・ステージでは、プログラムにない"If I Were A Bell"を納浩一(B)、大坂昌彦(Ds)のトリオで演奏した。アレンジャーとしてだけでなくピアニストとしても一流であるところを見せてくれた。
そして、ヴォーカルの安則眞美(CHAKA)が登場。
守屋の話によると、ビッグバンドにはボーカルが重要だと考えており、ホーン陣に負けないパワーのあるシンガーを紹介したかったとのこと。結構である。できればダンスかバレエも加えてほしい。
最近は、マイクに語りかけるような歌い方をするシンガーが多いなかで、CHAKAのボーカルは全身で聴衆に訴えかける迫力のあるもので、"Cheek To Cheek""My Favorite Things"などのスタンダード4曲を熱唱した。
ボーカルのバックの演奏もすべて守屋がアレンジしたものでセクション間の呼応というスイング・ビッグバンドの様式を取り入れたもののハーモニーはモダンな響きで実に新鮮だ。特に、"My Favorite Things"のフルートとサックスの色使いは見事だ。
ソロイトはいずれもビッグバンド・メンバーとして活動しているばかりか自己のグループや一流プレーヤーのグループに参加するなど巧者ぞろいであったが、とりわけ、トランペットのエリック宮城のプレイが光っていた。
守屋のオリジナル"Over There"でフリューゲル・ホーンを使用、バラードを中音域でエモ-ショナルに演奏した。
彼は、もともとハイノート・ヒッターとして有名であるが、テクニックだけでなく歌心もすばらしいものを持っていることを再認識させてくれた。

この日の司会役の児山紀芳氏は、今、最も将来を嘱望されているアレンジャーであると守屋を紹介した。
日本のみならず、是非、ニューヨークをはじめ海外でも守屋サウンドを披露してほしい。本格的ジャズ・ファンにはかならず評価されるに違いない。
偉大な秋吉敏子に次ぐ作編曲家、ビッグバンド・リーダーとして海外でも活躍することを期待する。(2002.11.29)