|

2月26日、銀座・ヤマハホールがリニューアル・オープンし「オープニング・ジャズ・フェスタ」が開催された。
これまで多くのジャズ、クラシックのリサイタルなどに使用されてきたヤマハホールが、“アコースティック楽器に最適なコンサートホール”として生まれ変わった。
この日の出演は、塩谷 哲(Pf)、原 朋直(Tp)、中川英二郎(Tb)、寺久保エレナ(As)、三木俊雄(Ts)、中村健吾(B)、高橋信之介(Ds)というトップ・ミュージシャンばかりという豪華な顔ぶれ。この日のためのスペシャル・グループで、いずれもヤマハにはなんらかの係わりをもったミュージシャンだ。
トロンボーンの
中川はヤマハと共同で中川英二郎モデル「YSL-895EN」を製作、トランペットの原は原朋直モデル「YTR-8335GH」を製作、ピアノの塩谷は5歳の時からヤマハ音楽教室でエレクトーンを学んだ。
コンサートは、中川がミュージカル・ディクターを担当、「メンバーは日頃リーダーとして活躍している人ばかりなので、今夜は、各自のオリジナルを取り上げて演奏します」とアナウンスがあった。
第1部は、中川のトロンボーンによるカルテット、中川とピアノの塩谷とのデュオ、塩谷のピアノ・ソロといった小編成での演奏。第2部は、ホーンに原朋直(Tp)、寺久保エレナ(As)、三木俊雄(Ts)が加わったセプテット、中川と原のクインテット、、原、中川、三木によるセクステットと編成を変えて楽しませてくれた。
演奏は、期待通りの水準の高いもので1曲目の中川のオリジナル”Secret Gate”での高橋のシャープなラテンリズムをバックに中川のフルトーンでバリバリと吹きまくったすばらしいトロンボーン・プレイに一気に引き込まれた。それにしても、何といい音なのだろう。アコースティックの柔らかい音がほどよく響き、2階の天辺の席からでもクリアでが伝わってくる。これほどに音響の優れたホールはめったにないのではないか。塩谷のピアノ・ソロ”The Dew Of Life
”での演奏で一層美しいメロディーと美しい響きに酔わされた。
また、原はCD「トリニカリー」から”Dance in the Moon”を、三木俊雄はフロントページ・オーケストラのアルバム「ハーモニー・オブ・ザ・ソウル」で演奏している”Echoes of The Forest”、中村健吾はオスカー・ピーターソンと小曽根真に捧げた"OP-OZ"でトップ・ミュージシャンとしての実力を見せ付けた。
しかし、何と言ってこの日の注目は高校2年生という新人アルトサックス・プレーヤーの寺久保エレナだ。現在、北海道に住んでいてこのコンサートのために上京してきたそうだ。新人がいきなりトップ・ミュージシャンばかりのステージで共演するというのは例のないこと。大丈夫かと心配しながら聞き始めたが、これがビックリ、彼女のオリジナル”Tim Tam Time”を4管で演奏、ウェスト・コースト・ジャズを思わせるサウンドでアルトサックスらしいきれいな音を駆使、レンジを広く使ったよく歌うアドリブを堂々と聞かせてくれた。キャノンボール・アダレイが好きだそうだが、非常にノリがよく躍動感溢れるプレイで会場から大きな拍手が沸きあがった。また、中川のオリジナル曲”Hidden Story”はアート・ブレーキー&ジャズ・メッセンジャーズのアルバムの「Live atBubbas 」での"Soulful Mr. Timmons"を思わせるファンキーなナンバーであったが、少してこずっていたようだ。一緒にプレイしたトランペットの原は「長い目で育てればすばらしいミュージシャンになると思う」と賞賛していた。
優れた新人ミュージシャンが続々登場しているが寺久保エレナには大いに期待し今後注目していきたい。
今回のコンサートは、オリジナル曲ばかりというめったにない演奏内容で、ジャズを始めて聞く初心者や一般向けではなく、熱心なジャズ・ファン向けの内容であった。司会の落語家の林家正蔵とミュージシャンとの話は無用ではなかったか。モダン・ジャズとお笑いの組み合わせは難しい。(2010.2.27)

|