オール・オブ・アス / 渡辺文男60年代、実兄の渡辺貞夫クインテットの黄金時代のレギラー・メンバーとして活躍、その後も頑固にハードバップ一筋を貫いてきた渡辺文雄の久々のリーダー・アルバム。フミオちゃんと呼ばれあたたかい人柄で多くのミュージシャンと共演してきたが、私が最も印象に残っているのは1967年、フリー・ジャズの闘志、オーネット・コールマンの初来日公演での演奏だ。出演予定のドラマーがドラッグの容疑で入国出来ずその代役をフミオちゃんが勤めたのだ。ファンは当日サンケイ・ホールでそのことをはじめて聞かされブーイングが起きた。ハードバップ、ドラーマーがフリージャズなど出来るはずがない、しかも、ぶっつけ本番だ。ブーイングが出ても仕方がなかった。しかし、フミオちゃんは見事にオーネット・コールマンをサポート、公演は大成功に終わった。これほどの柔軟性をもったドラマーは数少ないのではないか。本作は、フミオちゃんがリーダーとなっているがブラシを主に使用しもっぱらピアノの吉田桂一とベースの佐々木悌二のサポート役にまわっている。日頃のライブ活動をスタジオで再演したようなリラックスした演奏でフミオちゃんの人柄がにじみ出ている好アルバム。 |