10月8日、渋谷・JZBratで白崎彩子トリオのCD発売記念ライブを聞いた。
この日はツアーの最終日でメンバーは白崎彩子(Pf)中村健吾(B)田鹿雅裕(Ds)。ベースの中村はニューヨークで活動しており白崎同様里帰り。
そのせいか白崎と中村の知人、友人が多数つめかけ満員の盛況であった。
なかには子供連れの人や初めてジャズを聞くのではないかと思われるおばさん連中など様々で演奏中のおしゃべりも多く白崎もやりにくそうであったがそこはキャリアを積んできたプロ、内容は素晴らしいものであった。

白崎のピアノは最近の女性ジャズピアニストが好むビル・エバンス流のコードをあたらしく解釈してサウンドの妙を聞かせるスタイルではなく、すばらしいリズム感とメロディーラインを強調した女性と思えないバド・パウエル流のパワフルにスイングするスタイルが魅力である。
2セット聞いたが、Be Boppers""AireGin""Not Yet""Exsistence"といったアップテンポや変拍子の曲で実にスリリングなプレイを聞かせてくれた。
この日のメンバーはレコーディングのマルコ・パナシア(B)ルイス・ナッシュ(Ds)とは異なる日本人ミュージシャンで、はじまる前はレコーディング・メンバーでないのが残念と思っていたが、演奏を聞くにしたがいまるでレギラーメンバーかと思うようなみごとなインタープレイを聞かせてくれた。
それもそのはずで、白崎と中村はニューヨークでよく一緒にプレイしているとのことでコンビネーションもピッ タリ。また、ドラムの田鹿もCD"Exsistence"で参加しているルイス・ナッシュが師匠ということでこちらも実にいいサポートをしていた。

演奏した曲の多くはCD"Exsistence"からのものであったがレニー・トリスターノの"Lennie's Pennies"が"Pennys From Heaven"を引用したものであるとか自身のオリジナルの"Not Yet"がコール・ポーターの"Love For Sales"、"Existence"がジョン・コルトレーンの"Giant Step"のコード進行を引用したものであるなど種明かしをするなどはじめて聞く人にもよくわかるような解説をおこなうなどMCも簡潔かつ控えめで好感がもてるものであった。

中村のベースは白崎のタイム感覚にピッタリフィットし、自身のオリジナル"OPOZ"や"AireGin"などで強烈にスイングしベースの第1人者であることをアッピールしていた。
また何曲かで弦を叩くと同時に指を引っ掛けるチョッパーのような奏法で大いに盛り上げ会場からやんやの喝采を浴びていた。
ドラムの田鹿も、タイトなリズムとメロディックなソロでしっかりとグループを支えていた。

このメンバーでの日本での活動をもっと増やしピアノトリオ・ブームをさらに盛り上げてほしいものだ。(2003.10.9)