4月7日、新宿ピットインで富樫雅彦トリオの演奏を聞いた。
新宿ピットインは新宿2丁目に移転してから始めてだ。
入口のカウンタで4000円を払い、中でドリンクを受け取り、席につく。
100人くらい座れそうだが席は学校形式ですべてステージに向いている。
飲食は余り重視してなくもっぱらジャズを真剣に聞かせるという店。1人で入ってもまったく違和感はない。

演奏の方は、パーカション・富樫雅彦、ピアノ・佐藤允彦、ベース・桜井郁雄という錚々たるメンバー。
富樫のオリジナルを中心に2セット演奏された。
富樫はドラムからパーカッションに替わってからそのハンディキャップを埋めるがごとくサウンドクリエーションに情熱を傾けているようでこれまでも多くの自己のアルバムを発表してきた。作曲の才能は相当なものだ。
演奏された曲は”メモリーズ””ソング・フォー・マイセルフ”などいずれもテンションの高いもので、緊張感あふれるサウンドであった。特に2セット目の”ヘイズ” はフリースタイルで演奏され佐藤は殺気すら感ずるショッキングな旋律を次々と繰り出し、桜井と富樫も触発されて息をのむインタープレイを展開、聴衆を圧倒した。

フリージャズはジャズの醍醐味であるスリリングな要素のみを強調し、いわゆる心地よいスイング感、予定調和を完全に取り去ったものだ。
従って、全体の構成美はないものの演奏者が何をやるのか一瞬一瞬の期待と緊張をもって一触即発の予期せぬ展開が拡がっていくところに面白さがある。単にトリッキーなだけではダメだ。メンバー間の日頃のコミュニケーションで培われたヨミでサウンドを紡いでゆく豊かな音楽性があってはじめて最高の瞬間芸術となる。
従って、フリージャズはCDで繰り返し聴くものではなくライブでのみその醍醐味が伝わるものだ。
この日のライブはJジャズの巨匠とも言える富樫、佐藤、桜井ならではの演奏で充実感あふれるすばらしい内容であった。(2001.4.8)