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東京ジャズ09

東京JAZZ2009が9月4,5,6日、東京国際フォーラムで開催された。
今年は、昨年と比べフュージョンが少なくメーンストリーム系のモダンジャズが中心のプログラムであった。
私が注目したのはピアノ。初のピアノ・ソロ・アルバム「プレイス・トゥ・ビー」を発売したばかりの上原ひろみ、アルバム「楽興の時」を発表し完全復活した大西順子、そして、ジャズ・レジェンド、マッコイ・タイナーの聞き比べだ。

上原ひろみは4日の昼、歌手の矢野顕子とのデュオと5日の夜、ソロで出演という人気ぶり。私は、5日の夜のステージを聞いた。
1番手に登場したメロディ・ガルドーが静かな演奏に終始、観客とのやり取りも殆どなく淡々と進行したこともあり、2番手に登場したひろみには待ってましたとばかりの大歓声で迎えられた。

この日は、新譜からの曲を演奏、ひろみの超絶テクニックを駆使しパワー全開の熱演に聴衆は釘づけ、1曲目の”トム&ジェリー・ショー ”が終わると場内から大きな拍手で一気にヒートアップ。ハーハーしながら「今日は私がいまままで世界中のジャズ・フェスティバルで行った都市を皆さんと一緒に旅してみたいと思います。」と挨拶。シシリア、ニューヨーク、フランスそしてラスベガスを題材にした曲を演奏。立ち上がったり気合を入れる声をあげながら鍵盤をめまぐるしくかき鳴らす様子がワイド・スクリーンでよく見える。”パッへルベルのカノン”では中高音部をハープシコードのような音、低音部は普通のピアノの音でアドリブを展開していた。CDではどのような方法かわからなったが金属板を弦の上に置いていた。また、低音部の弦を押さえ打楽器のような音を作り出すなど、ピアノの機能を最大限に生かした演奏に圧倒された。
アンコールは、CDでも最後に演奏している”Place to be ”を心を込めて静かに演奏、余韻を残したステージであった。

大西順子は、6日の夜のトップに登場した。ピアノ・トリオでの出演なのにわざわざ「大西順子トリオ featuring 井上陽介 and ジーン・ジャクソン」となっている。これでは全員をフィーチャーしているので意味がないと思うのだが。
閑話休題。「東京のジャズ・フェスティバルに久しぶりに出演できてうれしいです。今日は11年ぶりに発表した新譜からの曲を演奏します。」と挨拶。新譜
「楽興の時」ではなぜかエリック・ドルフィーの曲を3曲も演奏していたが当夜は自身のオリジナル中心の演奏、アップテンポで音を埋め尽くす往年のダイナミックなプレイで聴衆を引き込んだ。右手は8分で次々とメロディーを紡ぎだし、左手ではストライド奏法のような強力なコッピングを行うなど新境地を示す熱演であった。
最後に新譜のボーナストラックにも収録されている”So Long Eric”ではメンバー3人の見事なインタープレイで、超高速からミディアム、スロー、4ビートからワルツなどテンポや拍子を変化させながらアドリブを展開するスリリングな演奏を披露、女王の貫禄を示した。
大西の笑顔が何回かスクリーンに映し出されていたが本人も満足する演奏であったのだろう。今後、ますますの活躍を期待したい。

続いて、マッコイ・タイナーの登場。マッコイ・タイナー(p)、ジョン・スコフィールド(g)、ジェラルド・キャノン(b)、エリック・カマウ・グラヴァット(ds)というメンバー。
マッコイのヒット曲”フライ・ウィズ・ザ・ウィンド”でスタート。私は、このアルバムが発表された1977年頃だったと思うが来日公演を東京厚生年金会館ホールで聞いた。当時の演奏はギターではなくサックスが入った編成で、マッコイはハンマーのように鍵盤をダイナミック叩いていたのが強烈な印象として残っているが、今回はその面影はなかった。メンバーのソロ回しで、もっぱらバンド・リーダーとしてのディレクションに重きを置いたステージで自身のソロを際立たせるという演奏ではなった。他のメンバーは個性を発揮したアドリブを展開、グループ・サウンドとしてはベテランならではのまとまりのよい演奏であった。

3番手に登場したのはこちらもジャズ・レジネンドのルー・ドナルドソン。ルー・ドナルドソン(sax)、敦賀明子(org)、ランディー・ジョンストン(g)、田井中福司(ds)というメンバーでファンキーかつソウルフルな演奏を聞かせくれた。それまでテンションの高い演奏で観客も曲の終了でのみ拍手をするという固さがあったが、このグループの登場でそれまでの緊張が解けたかのようにアドリブの終わりに大きな拍手が入るなど大いに受けた。ドナルドソンのMCも慣れたもので我々の演奏はフュージョンではありません、メインストリーム・ジャズですと説明、チャーリー・パーカーの曲や”チェロキー”などバップの曲も取り上げるなどモダンジャズの真髄を伝えてくれた。なかでも、オルガンの敦賀はアーシーなプレイでドナルドソンと見事なコラボレーションを繰り広げ、躍動感溢れるソロ聞かせるなどJジャズの実力の高さをこのステージでも実感させられた。ドラムスの田井中福司も敦賀と同じニューヨーク在住でドナルドソンのグループで何年もジャズ・クラブやフェスティバルへ出演してきているそうだが、重量感のある手堅いドラミングでサウンドを支えていた。こんなにすばらしい日本人ドラマーがニューヨークで活躍しているとは知らなかった。”WONDERFULL WORLD”や”ALLIGATOR BOGALOO”などのヒットやドナルドソンのソウルフルなボーカルで”WHISKEY DRINKIN WOMAN”なども披露、盛り上がったステージであった。

この後、スーパー・ジャムがあったが時間の都合で帰路についた。
今回は入場数が昨年の2万人を若干下回ったが内容充実のステージであった。是非、来年も開催しマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルのような歴史をつくってほしいものだ。(2009.9.8)

 

撮影:中嶌 英雄 (除く 大西順子[右上])
撮影:岡 利恵子 (大西順子[右上]のみ)

 


NHK放送予定
 
NHKハイビジョン 9月28日(月) 午後11:00〜午前0:29(月曜深夜)
  9月29日(火) 午後11:00〜午前0:29(火曜深夜)
  9月30日(水) 午後11:00〜午前0:29(水曜深夜)
  10月1日(木) 午後11:00〜午前0:29(木曜深夜)
     
NHK衛星第2 10月6日(火) 午前0:40〜午前2:09(月曜深夜)
  10月7日(水) 午前0:40〜午前2:09(火曜深夜)
  10月8日(木) 午前0:40〜午前2:09(水曜深夜)
  10月9日(金) 午前0:40〜午前2:09(木曜深夜)