今年も夏のジャズフェス・シーズン到来。
8月7日、上野公園・水上音楽堂のUENO JAZZ INNへ今年も出かけた。
連日の猛暑がめずらしくおさまり不忍池からくる涼しい風が心地よい。
今回はCDをはじめてリリースした内堀勝MUビッグバンドが登場、スペシャルゲストに歌手の伊藤君子が出演するということで大いに期待していた。
ステージは4部構成でMUビッグバンドは最後に登場、メンバーがCDの参加メンバーと若干異なっていた。リーダーの内堀によるとこの日は他のジャズフェスと重なる人もいて上野にはこられなかった人もいるが特別参加のミュージシャンにも分け隔てのない拍手をお願いしますと説明、やさしい人柄を感じさせた。
"It Don't Mean A Thing" "In A Sentimental Mood"などエリントン・ナンバーを3曲。アマチュア・バンドにも人気の4トロンボーンによる"Just Friends"、カウント・ベイシーの"Boogie Woogie"、"NewYork NewYork NewYork"などを演奏。美しい音色で厚みのある豪華なサウンドが場内いっぱいに広がった。メンバーは日頃は自分のグループでリーダーとして活動している実力者の面々。内堀の伝統的なアレンジにのりダイナミックなビッグバンドの醍醐味を存分に聞かせてくれた。実験的なユニークなサウンドもいいがやはりジャズの楽しさを最も表現できるビッグバンドならではの演奏を聞かせてくれる内堀勝MUビッグバンドは最高だ。
そして、いよいよお待ちかねの伊藤君子の登場。
"All Of Me"でスタート、"NewYork State Of Mind""明日にかける橋"など熱唱。ビッグバンドをバックに全身を振り絞り情感豊かに歌う本格的なボーカルに聴衆は酔いしれた。
ささやき系の多い昨今のボーカルだが、伊藤のパフォーマンスはジャズのホットなエネルギーを発散する素晴らしいものだ。アンコールは当然”Follow Me”、ジャズ・フェスティバルらしい豪華なサウンドで締めくくった。
内堀勝(Leader,Cond)、伊藤君子(Vo)
近藤淳(A.sax)、池田篤(A.sax)、三木俊雄(T.sax)、岡崎正典(T.sax)、菅野浩(B.sax)、
エリック宮城(Tp,Flh)、菊池成浩(Tp)、岡崎好朗(Tp)、
片岡雄三(Tb)、橋本佳明(Tb)、三塚知貴(Tb)、山城純子(B.Tb)、
守屋純子(Pf)、佐藤慎一(Bs)、稲垣貴庸(Dr)
ところで、出演グループのなかに私の知らないグループ"saigenji"があった。3部で登場したがボーカル&ギターのsaigenji、女性のサックス、フルート、ピアニカの山上一美、パーカッションの福和誠司のトリオ。saigenjiのボーカルが中心のバンドのようでファルクローレと呼ばれる南米アンデス地方の民族音楽を演奏しているという。演奏がはじまったがジャズと関係のない音楽に興味を失いかけいたが2曲3曲聞き及ぶうちにこれはただものでないという感じが湧き上がってきた。saigenjiと山上一美のコンビネーションが抜群でまるでFried Prideのshihoと横田明紀男のような感じだ。
saigenjiがジャズフェスティバルなのに僕達ジャズでないグループを呼んでくれてありがとう。1曲ジャズの曲を演りますといってウエス・モンゴメリーの"Full House"を演奏した。ここに至って彼らの実力がいかにすばらしいかが証明された。アドリブ、インタープレイ、チェイス、ボーカリーズなどまさにジャズそのものだ。しかもテクニックは実にしっかりしている。こんなにすばらしいグループがあるなんてまさに仰天だ。saigenjiの歯切れのいい明るいボーカルと山上一美のサックス&フルートはトップクラスの実力だ。
2部に登場の中川昌三(Fl)は以前もUENO JAZZ INNに出演したが地元、神田の生まれで上野育ち、東京芸術大学卒業とご当地ミュージシャン。佐藤允彦の影響でジャズを演奏するきっかけとなったというチャイコフスキーの”タッチ・オブ・スプリング”やリベル・タンゴなどジャンルにこだわらない演奏を行った。ジャズは1曲だけ演奏したがチック・コリアの”スペイン”を娘の中川果林のめずらしい25絃箏を交えユニークなサウンドを聞かせてくれた。
UENO JAZZ INNは新人紹介の場でもある。昨年の浅草ジャズコンテストのグランプリ・グループである石田ヒロキ&フレンズ(石田浩基(Pf)高橋知道(Ts)田中宏昭(Ds)宮上啓仁(B)と優秀ソロイストの川崎太一朗(Tp)、Namihey(河波浩平)(Vo)が出演、レベルの高い演奏を行った。今後注目すべき新人プロミュージシャンだ。(2004.8.8)