ジャズの先端的な演奏とクラシックの先端的な演奏は同じ?
NHK-BS2で「クラシック倶楽部」という番組があります。
毎日月曜から木曜までのAM10:55から1時間の放送で、私は毎日ビデオに録画して休みの日に面白いところだけ聞いています。
1月中旬ころから「第76回日本音楽コンクール本選会」というコンクールの入賞者の演奏を放送しており、ピアノやフルート部門などはいずれも優れた演奏で楽しめました。その中で、私が最も驚いたのは2月18日(月)の作曲部門でした。
入賞者は楽器部門と同様、音楽大学の院生やOBで若い人です。ベートーベンやチャイコフスキーのような美しい曲がオーケストラで演奏されるのかと期待して再生をはじめたのですが、楽器編成は、小規模構成ばかりでピアノ、バイオリン、クラリネットのトリオからせいぜいチェロやトロンボーン、マリンバなどが加わる5人から7人程度でした。別に規模が小さいからがっかりしたのではありません。問題はその中身、音楽です。何と全員が現代音楽なのです。3~4人くらいだと指揮者はいません。楠田陽子の作曲した「グラヴィテート」や小出稚子の「南国の魚、極彩色の夜」などです。
リーダーらしき人の合図で阿吽の呼吸で演奏しており、サウンドは何とフリージャズのサウンドに非常に似ているのです。メロディックといえる部分はほとんどありません。クラシックですから楽譜を前にしての演奏ですのでアドリブはありません。しかし、間の使い方と和声はまるで菊地雅章か藤井郷子の音楽を聞いているような錯覚に陥りました。この演奏にベースの望月英明やドラムの小山彰太が加わってもちっともおかしくないのです。
最高にびっくりしたのは第1位となった稲森安太己の作品「ピエドラ」でした。
ハープ、バイオリン、ビオラ、チェロ、笙にソプラノ歌手が加わる編成です。笙の奏者は烏帽子をかぶり公家のような格好です。
演奏がはじまり、ノイズのような音が間歇的に聞こえてきたかと思ったら、ソプラノ歌手は大きく咳払いをしました。そして手に持っているノートの紙を破り放り投げ、嗚咽のような声を出し始めました。曲の後半ではソプラノ歌手はハープのそばに行きなにやら語りかけるなどのパフォーマンス。
私はこれを見て思わず渋さ知らずのステージを思い浮かべました。クラシックの先端的なものとジャズの先端的なものがこれほど近いものということに驚いたのです。
しかし、振り返ってみればニュー・オリンズ・ジャズからハードバップまではクラシックのバッハ、モーツアルトの音楽と近いものがあります。対位法です。
従って、モダンジャズの先端的な演奏とクラシックの先端的な演奏が似ていてもおかしくはないかもしれません。
別に、私はジャズがクラシックと同じような理論を持っているから優れた音楽だという気はまったくありません。ただ、クラシックの若い作曲家がことごとく伝統的な音楽ではなく現代音楽に取り組んでいることを知って驚いたわけです。
クラシックより新しい音楽であるジャズの方はというと、今日の新人ジャズ・ミュージシャンはオリジナルにこだわっていますが、先端的なジャズに挑戦している人はどれだけいるのかとふと考えさせられました。(2008.2.20)











