2008/2/20 Wednesday

ジャズの先端的な演奏とクラシックの先端的な演奏は同じ?

Filed under: ジャズ — admin @ 14:17:44

NHK-BS2で「クラシック倶楽部」という番組があります。
毎日月曜から木曜までのAM10:55から1時間の放送で、私は毎日ビデオに録画して休みの日に面白いところだけ聞いています。

1月中旬ころから「第76回日本音楽コンクール本選会」というコンクールの入賞者の演奏を放送しており、ピアノやフルート部門などはいずれも優れた演奏で楽しめました。その中で、私が最も驚いたのは2月18日(月)の作曲部門でした。

入賞者は楽器部門と同様、音楽大学の院生やOBで若い人です。ベートーベンやチャイコフスキーのような美しい曲がオーケストラで演奏されるのかと期待して再生をはじめたのですが、楽器編成は、小規模構成ばかりでピアノ、バイオリン、クラリネットのトリオからせいぜいチェロやトロンボーン、マリンバなどが加わる5人から7人程度でした。別に規模が小さいからがっかりしたのではありません。問題はその中身、音楽です。何と全員が現代音楽なのです。3~4人くらいだと指揮者はいません。楠田陽子の作曲した「グラヴィテート」や小出稚子の「南国の魚、極彩色の夜」などです。

リーダーらしき人の合図で阿吽の呼吸で演奏しており、サウンドは何とフリージャズのサウンドに非常に似ているのです。メロディックといえる部分はほとんどありません。クラシックですから楽譜を前にしての演奏ですのでアドリブはありません。しかし、間の使い方と和声はまるで菊地雅章か藤井郷子の音楽を聞いているような錯覚に陥りました。この演奏にベースの望月英明やドラムの小山彰太が加わってもちっともおかしくないのです。

最高にびっくりしたのは第1位となった稲森安太己の作品「ピエドラ」でした。
ハープ、バイオリン、ビオラ、チェロ、笙にソプラノ歌手が加わる編成です。笙の奏者は烏帽子をかぶり公家のような格好です。
演奏がはじまり、ノイズのような音が間歇的に聞こえてきたかと思ったら、ソプラノ歌手は大きく咳払いをしました。そして手に持っているノートの紙を破り放り投げ、嗚咽のような声を出し始めました。曲の後半ではソプラノ歌手はハープのそばに行きなにやら語りかけるなどのパフォーマンス。
私はこれを見て思わず渋さ知らずのステージを思い浮かべました。クラシックの先端的なものとジャズの先端的なものがこれほど近いものということに驚いたのです。
しかし、振り返ってみればニュー・オリンズ・ジャズからハードバップまではクラシックのバッハ、モーツアルトの音楽と近いものがあります。対位法です。
従って、モダンジャズの先端的な演奏とクラシックの先端的な演奏が似ていてもおかしくはないかもしれません。

別に、私はジャズがクラシックと同じような理論を持っているから優れた音楽だという気はまったくありません。ただ、クラシックの若い作曲家がことごとく伝統的な音楽ではなく現代音楽に取り組んでいることを知って驚いたわけです。
クラシックより新しい音楽であるジャズの方はというと、今日の新人ジャズ・ミュージシャンはオリジナルにこだわっていますが、先端的なジャズに挑戦している人はどれだけいるのかとふと考えさせられました。(2008.2.20)

テクノラティプロフィール

2008/1/19 Saturday

Jazz Pageの07年度ランキングについて

Filed under: ジャズ — admin @ 15:24:00

今年も10月から12月までの3ヶ月間でミュージシャン別のアクセス集計を行いました。
この集計は、CDレビューをはじめミュージシャンのプロフィール、CD情報、ニュースなどhtmlファイルの閲覧件数をすべて集計したものです。携帯サイトも加算しています。
遅くなりましたが、集計結果のコメント述べてみたいと思います。

port5.jpg「Jazzman Of The Year」には上原ひろみがNo.1を獲得しました。上原は新譜「タイム・コントロール」が発売になり国内でのツアーも好評だったことでアクセス増となりました。更に、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』からリンクを貼られていることもプラス要因です。
昨年No.1のアキコ・グレースは07年度新譜CD発売されなかったことでアクセスはイマイチでした。

「BigBand」では熱帯ジャズ楽団が昨年の守屋純子オーケストラを破りNo.1となりました。「熱帯JAZZ楽団 XI~Let’s Groove~」が好評で、熱心なファンのアクセスが実りました。守屋順子は07年は「PLAYGROUND」を発表しましたが、オーケストラでなくコンボだったこともありアクセスが伸びませんでした。しかし、アルバムは、セロニアス・モンク・コンポーザーズ・コンペティション優勝記念盤ということで意義のある作品でした。

「Combo」では、PE’Zが相変わらずの人気でNo.1を獲得しましたが、2位に入った藤井郷子グループが注目されます。フリージャズは敬遠されがちですが、昨今の藤井郷子の作品はアレンジを若干行うことで従来のフリージャズと比べ格段に聞きやすい演奏になっています。また、発表作品の多さもアクセス増につながったといえます。
また、quasimode (クオシモード)スリープ・ウォーカーといったクラブ・ジャズ系のグループがトップ10に入っているのはJazz Pageの読者の感覚が新鮮な証拠だと思います。

「Trumpaet/Trombone」はJazz Pageで紹介しているトロンボーン奏者が少ないのでトランペットと一緒の部門としていますがトロンボーンの片岡雄三がNo.1になりました。1stリーダーアルバム「片岡雄三カルテット」が出ておりすばらしい演奏を行っていますが、06年です。自身のホームページを持っていないのか、Yahooなどで検索するとJazz Pageの片岡雄三が上位に表示されるので、これが大きな要因かもそれません。

「Saxophone」では、矢野沙織がダントツです。2位の小林香織に倍以上の差をつけています。ベスト盤の稀に見るヒットとテレビCMでの注目度は人気タレントになる可能性を感じさせます。

「Guiter」では小沼ようすけが昨年に引き続きNo.1ですが、2位に、安達久美が入ったのはファーストアルバム「リトル・ウィング」の発表でファンのブログなどでの熱い応援の結果です。

激戦区の「Piano」では、1位上原ひろみ、2位小曽根真、3位国府弘子といずれも優れたアルバムを発表し活発な活動を行っているミュージシャンで順当なところ。一方、トップ10に浅川太平西山瞳 の新人が入ったことが特筆されます。「浅川太平」「Many Season」ともに新鮮で高水準のアルバムだと思います。

「Bass」では、フォー・ユー/鈴木良雄トリオ feat.海野雅威」とBASS TALK初のフル・アルバムラブ・レター」の2タイトル発表した鈴木良雄が圧倒的なアクセス数でNo.1となりました。

「Drums」ではベテランの大隅寿男が今回もトップ。2位に入った松尾明はジャズ評論家、寺島靖国氏がプロデュースして話題になった「ALONE TOGETHER / Akira Matsuo Trio」のリリースがプラス要因です。

「Misc」では新人バイオリン奏者のmaikoが昨年に引き続きファンの後押しでNo.1を獲得しましたが、2位のオルガンの敦賀明子が急上昇、ニューヨークで活躍している現地の活きのいいミュージシャンとグルーヴ感あふれる演奏を行った。「St.Louis Blues」が好評でした。

「Male Singer」ではTOKUが昨年の丸山繁雄を破ってNo.1に、激戦の「Female Singer」では昨年同様akikomegと僅少差でトップを獲得。ボサノバ・アルバム「Vida(ヴィーダ)」小西康陽とのタッグのクリスマス・アルバム「ホワイト・アルバム」の発表がプッシュ要因です。

以上、簡単に各部門の結果についてコメントしましたが、アクセス数を増やすにはJazz Pageへの直接のアクセスだけでなくミュージシャン自身のホームページや応援サイトでのJazz Pageへのリンクが有効です。そのためにはやはり新譜発表や発売記念ツアーといったイベントが不可欠です。
Jazz Pageへの連絡をお待ちしています。(2008.1.20)




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2008/1/18 Friday

矢野沙織の英語力

Filed under: ジャズ — admin @ 13:52:45


矢野沙織 BEST~ジャズ回帰~(DVD付)

9月30日、NHKBS2の「J-MERO スペシャル」を見た。
J-POPアーティストに加え日野皓正、渡辺香津美、上原ひろみ、矢野沙織といったジャズ・ミューシャンが出演した。番組の司会はハワイ出身で英語と日本語のバイリンガルの歌手、melody.が担当、英語のインタビューと演奏で日本の音楽情報を海外にも発信しているそうだ。

海外経験の長さは、日野皓正、渡辺香津美、上原ひろみ、矢野沙織の順だが英会話の流暢さは矢野沙織、渡辺香津美、日野皓正、上原ひろみといった感じで意外でした。
特に矢野沙織はあらかじめ質問を聞かされて準備をしていたのかも知れないが発音もネイティブを思わせるものでびっくりした。彼女はレコーディングで数回渡米している程度なのに余程勉強しているのだろう。私など何十年も英会話の勉強を試みてきたがさっぱり上達しないので本当にすごいと感心してしまう。
ただし、英会話が流暢でないと外国人とコミュニケーションできないかというと必ずしもそうでない。NHKの「英語でしゃべらナイト」という番組で英語で説明がありそれは何かを応えさせるクイズがあるが、これに出演したオーケストラ指揮者の佐渡裕が簡単な質問を間違って解答したのを見たが、本人も海外で活動していても英語力はこの程度ですと言っていた。やはり全身で意思を伝えようとする気持ちが重要なのだと感じました。

演奏の方はスタジオで特別に行った日野皓正と渡辺香津美のデュオがよかった。2曲演奏した内”Milestone”が香津美のきれのいいこまやかなバッキングを受けて日野がうねるような大きなノリでスリリングなアドリブを聞かせてくれた。また、最後は歌手のmelodyが参加し彼女の持ち歌に日野と香津美がサポート、ジャンルを超え見事なコラボレーションを聞かせてくれた。NHKならではの良質な番組を楽しみました。(2007.10.1)




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菊地成孔にもの申す

Filed under: ジャズ — admin @ 13:51:12

Sketches of Spain

Sketches of Spain

  • アーティスト: Miles Davis, Gil Evans
  • 出版社/メーカー: Sony Jazz
  • 発売日: 1997/09/23
  • メディア: CD

先月、NHK教育テレビで「マイルス・デビス 帝王のマジック」という番組が放映された。マイルスの音楽と生涯についていま話題のミュージシャン、菊地成孔が講義を行うというもので非常に興味深く聞いた。

菊地成孔は文筆家、音楽家という肩書きをいつも使用しているが話も非常にうまくカンペなしですらすらと進めていた。通信教育の先生顔負けの饒舌さ。是非これからは肩書きに話し家というのも加えてほしい。

私がモダンジャズに入り込んだきっかけは菊地成孔同様マイルス・デビスであったので彼の作品や生涯については一通り知っているつもりであったが初めて聞く話もあり面白かった。

例えば、マイルスが始めて演奏したミュートを使用したバラッドの演奏はフランク・シナトラがマイクへ近づけて耳元で囁くように歌っていることにヒントを得てはじめたとか、モードは彼の恋人フランシスがマイルスをギニアのバレー団の公演に連れて行った時に聞いたカリンバで演奏した民族音楽がきっかけだったといった話は初耳だった。

菊地成孔はマイルスを”アンビバレンス(ambivalence)”が最大の魅力と語っている。”アンビバレンス(ambivalence)”とは見え見えの部分と意味不明の部分が半分半分あるということでYESとNOをはっきり言えない日本人と通じるところがある。だから日本人はマイルスが好きなのだと言っているが少しこじつけすぎやしませんか。日本人は日本の音階が示すように短調の曲が好きでマイルスのミュート・プレイに代表される哀愁を込めたサウンドが好きなのだと私は思っている。

菊地成孔はマイルスを4回の番組で年代ごとにその変化しつづけるマイルスを語っていたが、50年代のマイルスの「Birth of the Cool」のところでギル・エヴァンスを紹介していたが、60年代でのギル・エヴァンス・オーケストラとマイルスの共演については殆どふれなかったことが不満だ。
ギル・エヴァンス・オーケストラとマイルスは「Miles Ahead」「Porgy and Bess」「Sketches of Spain」「At Carnegie Hall」という名盤を創ってきており特にクラシックの取り込みで新境地を開いた「Sketches of Spain」に言及しないのはおかしい。
たえず変化と発展をしつづけたマイルスということになっているが、1991年のモントルー・ジャズ・フェスティバルではギル・エヴァンス・オーケストラとマイルスの共演が再演されているのだ。このときはクインシー・ジョーンズがオーケストラの指揮をしラッパの音がでなくなったマイルスを補助するためにウォレス・ルーニーが代役で参加している。このようにマイルスはギル・エヴァンス・オーケストラとの演奏を非常に重視しているのだ。
菊地成孔はマイルスを語るにはとても4回の番組では語りつくせないとは言っていたが重要な事実認識が欠落していたと指摘したい。(2007.6.7)




テクノラティプロフィール

強力新人トランペッター、ファブリッツィオ・ボッソに期待

Filed under: ジャズ — admin @ 13:50:22

ニュー・シネマ・パラダイス

ニュー・シネマ・パラダイス

  • アーティスト: ファブリッツィオ・ボッソ, ピエトロ・ルッス, ルカ・ブルガレッリ, ロレンツォ・ツゥッチ, ダイアン・リーヴス, ステファノ・ジ・バッティスタ, セルジョ・カンマリエーレ
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2007/05/30
  • メディア: CD

久しぶりにCDを通販で購入しました。「You’ve Changed / Fabrizio Bosso」「Around The City / Eliane Elias 」「Brad Mehldau / Metheny Mehldau」の3枚です。

いずれも輸入盤です。国内盤の方は日本語のライーナーとボーナストラックがつきますが500円くらい高いのでどうしても輸入盤を買ってしまいます。
オーダーした後一番聞きたかった「You’ve Changed / Fabrizio Bosso」をSI誌を見たらジャケットが違うので間違って別のCDを注文したかとあせりました。
よくよく通販サイトと比べて確認したら同じもので一安心。
国内盤ではジャケットを変えることはこれまでもありましたが、特に「You’ve Changed / Fabrizio Bosso」は写真を別物にするだけでなくタイトル名も「ニュー・シネマ・パラダイス」と変えていました。ジャケ写はたしかに国内盤の方が魅力的な女性の写真でジャケ買いを狙ったものと判りますが、タイトルを変えた意味が判りませんね。”You’ve Changed “はダイアン・リーブスのボーカル・バージョンとインストのみのバージョンの2曲入っており輸入盤すなわちオリジナル盤でファブリッツィオ・ボッソがの思い入れのある曲をタイトルにもってきているのは至極当然です。昔、ウィントン・マルサリスの「Hot House Flowers」という輸入盤が国内盤では「スターダスト」と変えて発売されましたがこれなどは曲の知名度から変更したということでうなずけますが「ニュー・シネマ・パラダイス」の場合は納得いきません。私は国内盤もオリジナルと同じものを販売すべきと思っています。

さて、本題に入りましょう。
イタリア出身の強力新人トランペッター、ファブリッツィオ・ボッソのアルバムがブルーノートから発売されると聞いて大いに期待して聞きました。

ストリングスが入っていることは事前に判っていましたが伴奏に徹するのではなくホーンのようにフロントに絡むような斬新なアレンジを期待していたのですが肩透かしをくいました。
古典的な伴奏です。しかもあまりセンスがいいとは思えません。
しかし、ボッソのトランペットはいまはやりのMonetteを使用しブリリアントなトーンでスイートな演奏を行っていました。テクニック、歌心ともに申し分ありません。
まるでクリス・ボッティーの「When I Fall On Love」を聞いているような甘美な演奏です。
このようなBGMのような演奏ばかりだと飽きてしまいますが、5曲目の”Georgia on My Mind ”ではホットでエキサイティングな演奏も聞かせてくれています。私はこのトラックが最も気に入っています。また、8曲目の”Summer Samba ”ではセカンドリフをつけ歯切れのいい見事な演奏が聞けます。

演奏そのものは特に新しいことはやっていませんがトランペット・フリークの私には充分楽しめる内容でした。(2007.6.6)




テクノラティプロフィール

ヨーロッパのミュージシャンに改めてビックリ

Filed under: ジャズ — admin @ 13:48:26

先日“STORYVILLE”レーベルのCD 25タイトルをM&Iカンパニーから頂いた。あまりの多さにどうやって聞こうかと頭をひねりました。
Jazz PageのいつものCD紹介だけでも毎週ヒーヒー言っているですからです。
それでも1日1タイトルと決めて今日まで5タイトル聞きました。

storyvile_logo1.jpg


“STORYVILLE”は1952年デンマーク、コペンハーゲンの熱狂的なジャズファンであったカール・エミール・クヌードセン(写真)が創設したヨーロッパ屈指のレーベルです。渡欧した米国ミュージシャンの録音を始めヨーロッパへ移住したミュージシャンなどライブ録音を中心に沢山のアルバムがあります。

昔はアメリカよりヨーロッパのほうがジャズを正当に評価する人が多かったんですね。
ヨーロッパは日本より随分と前からジャズが盛んでデンマークだけでも”STORYVILLE”と”"STEEPLE CHASE”という2つのジャズ・レーベルがあり2つとも名盤を多く残しています。

niles1.jpg

中でもベースの巨匠、ニールス・エルステッド・ペデルセンは2つのレーベルにレコーディングしていますがそのすばらしいテクニックとスケールの大きなプレイは際立っています。私が一番最初にペデルセンを聞いてビックリしたのは”STEEPLE CHASE”の「デュオ/ケニー・ドリュー、ニールス・ペデルセン」というアルバムです。迫力ある演奏とみごとなインタープレイにに圧倒されました。そして今回”STORYVILLE”の「ターゲット / ニールス・ラン・ドーキー」を聞いてやはりすごい人だなと関心しました。当時23歳の若手であったニールス・ラン・ドーキーと名手のニールス・エルステッド・ペデルセン(B)とジャック・デジョネット(Ds)とのピアノトリオですがニールス・ラン・ドーキーがベテランに臆するとこなくオリジナルを中心に切れ味のいい演奏を行っていますがサポート役のペデルセンのプレイは息を呑むすばらしさです。ご承知の通り彼は現在オスカー・ピータソン・トリオのメンバーとして活躍中ですね。

もう1枚印象に残ったCDは1950年の録音されたチャーリー・パーカーのアルバム「イン・スエーデン 1950」です。ヨーロッパのミュージシャンと共演でパーカーの演奏は勿論すばらしいのですがトランペットのロウランド・グリーンバーグがすばらしい出来です。まるで全盛期のディジー・ガレスピーを思わせるハイノートを駆使したスリリングなフレーズを連発しています。パーカーにアドリブで負けていないのですから凄いの一言です。

ヨーロッパには本当に優れたミュージシャンがいることを改めてビックリしました。
残りの20タイトルを聞くのが楽しみです。




ジャズの常識は非常識?

Filed under: ジャズ — admin @ 13:47:26

私の本業であった音楽配信MaXMuseが1月12日にクローズしました。
思いように売上が伸びず見切りを付けたという訳です。
携帯の着うた(フル)の市場は大きいのですが、パソコン向けの市場はなかなか大きくならないというのが背景にあります。
まあ、何を言っても愚痴になりますのでこの辺で止めておきます。

音楽配信の仕事に携わって一番の収穫はジャズ以外の音楽の世界を知ったことですね。
一緒に働いていた仲間はレコード会社、CDショップなど音楽業界での経験が豊富な人たちでしたがJ-POPやロックなどジャズ以外のポップスの世界とジャズの世界とのギャップに驚いたことが多々ありました。

ジャズで常識と思っていたことは音楽全体でみると非常識なことがあるのです。
例えば、ソロという言葉ですが、ジャズでソロ・アルバムとえば文字通り1人で演奏しているアルバムを指します。ピアノ・ソロやギター・ソロなど無伴奏で演奏されます。
しかし。ポップスの世界ではソロ・アルバムとはグループのメンバーとしての演奏から自分がリーダーとなって発表したアルバムという意味なんですね。
元YMOのドラムスの高橋幸宏がソロのアルバムを出すと聞いて、ドラム・ソロのアルバムは珍しいねと言ったら笑われましたね。だって、ジャズではマックス・ローチのドラム・ソロをやっているアルバムがありますから。

ジャズではCDといえばアルバムを指します。しかし、ポップスではCDといえばシングルを指すことが多いのです。まず、シングルを出して売れたらアルバムを出してもう一度稼ぐのです。ニュー・シングルを間違えてニュー・アルバムと書いて制作事務所から怒られたことがありました。ジャズではせいぜいミニ・アルバムですね。

ギョウカイにいた人は音楽の専門家のはずなのにジャンルにとらわれず何でも聞きます。大体私のような古いジャズ・ファンはジャズしか聞かない時期がありました。ジャズ以外は邪道と思っていたくらいジャズを掘り下げて聞いていました。しかし、ポップス系の人はジャンルを問わないようでいい音楽はイイと受け入れるのですね。ロックの制作をやっていた人がいましたがジャズではケニーギャレットとジョン・コルトレーンを聞くと言うのですね。これにはショックを受けました。以来、私も少し幅を広げて音楽を聞くようになりましたね。

そして、ジャズとポップスで大きく違うことがあります。
楽曲の売れ方です。ポップスは新譜がすべてといっても過言ではありません。発売からの1週間くらいが勝負で後はさっぱりです。まるで線香花火のようです。
それに引き換えジャズの楽曲は息の長い販売です。新譜発売から1年くらいは現役の商品として売れるのです。名盤・名演であれば何年たっても売れるのです。これはクラシックの楽曲も同じですね。このあたりがジャズが芸術と呼ばれる証拠ではないでしょうか。ポップスでも美空ひばりや石原裕次郎など何年もたっても売れていいる楽曲もあるにはありますが少ないですね。

ともあれ、音楽配信の仕事を通じ私の音楽の世界が拡がったことは確かですね。(2007.1.23)



ノラ・ジョーンズってジャズ?

Filed under: ジャズ — admin @ 13:46:31

ブルーノートのシンガー、ノラ・ジョーンズが来年1月24日発売の3rdアルバム「Not Too Late」に先駆けて12月6日から1曲だけ”Thinking About You”をネットで先行販売を行います。
相変わらずまったりとした彼女独特の歌い口です。

ノラ・ジョーンズは2002年のメジャー・デビューで「Come Away with Me」が大ヒットし全世界で1,800万枚売れ2003年グラミー賞主要4部門含む全8部門で受賞しました。
世間では一応ジャズシンガーとされていますが、私はどう見ても(聞いても)ジャズには聞こえないのです。フォーク、カントリーのイメージです。2003年グラミー賞でもジャズではなくポップボーカルでの受賞です。しかし、あのジャズの名門レーベル”BlueNote”から発売されちゃったんですからジャズというジャンルに一応押し込めているのでしょう。
Bill Frisell(G) とBrian Blade(Ds)という一流のジャズ・ミュージシャンがサポートしたことも彼女をジャズ・シンガーと評価した大きな要因ではないかったと思います。

ジャズかジャズではないかという議論は一般の音楽ファンには無意味ですがジャズ・マニアにとっては大きな問題です。彼らはそれぞれジャズとはどういう音楽かという意識をもっています。かくいう私もそのその一人ですが昔はジャズ至上主義でジャズ以外は聞かないという時期がありました。やっとここ数年他のジャンルにも興味を覚えこれまで間口を狭めていたことを後悔しています。しかしジャズの定義を曖昧にする気は毛頭無く自分の定義と異なった解釈をする場合は口出ししたくなるのです。

ジャズであるかどうかはスイングしているかどうかです。
ジャズはアドリブとよくいいますがアドリブがなくてもスイングしていれば私はジャズと認識します。有名なグレン・ミラーの演奏にはあらかじめ譜面に書かれたアドリブ・パートがありますが私はジャズと認識しています。そうなると”スイングする”という意味が重要になりますが、これはジャズ独特のリズム感いわゆるノリですね。アクセントが前にあるオン・ビートではなく後ノリのオフ・ビートの感覚です。これがないといわゆるジャズの曲を演奏してもジャズになりません。例えばブラスバンドが演奏する”イン・ザ・ムード”を聞いても少しもスイングしていません。”フーテンの寅さんのテーマ”は上手いですが。

話を元に戻しましょう。ジャズ・ボーカルの場合、アドリブは通常はありません。(スキャットはありますが特別な歌い方です)。従ってスイングしているかどうかが重要です。英語の発音とスイング感は極めて密接な関係があります。従って、日本人のシンガーの場合は英語の発音が良ければジャズのスイング感が出てきます。極論を言えば日本語やフランス語などではだめです。ジャズは英語の語感でなければなりません。トップ・シンガーの伊藤君子やケイコ・リーが日本語で歌った曲がありますが私はジャズには聞こえません。
もう一つ重要な要素があります。バックのバンドの演奏です。この演奏がスイングしているとシンガーがスイングしていなくてもジャズに聞こえてきます。一流のジャズ・ミュージシャンが伴奏していればなおさらです。
その意味で、ノラ・ジョーンズの「Come Away with Me」はジャズ・ボーカルと評価されたのかも知れません。

ニュー・アルバム「Not Too Late」では収録の14曲すべてが自身のオリジナル楽曲(共作含む)を歌っています。また鍵盤以外の楽器をレコーディングで初披露しており、エレキ・ギター、アコースティック・ギターも弾いているといいます。
果たしてスイングしているのでしょうか。楽しみですね。(2006.11.29)


COME AWAY WITH ME


Feels Like Home


グラミー・ノミニーズ2005





テクノラティプロフィール

椎名林檎、3年ぶりの新曲

Filed under: ジャズ — admin @ 13:44:53

「カリソメ乙女(DEATH JAZZ ver.)/ 椎名林檎×SOIL&”PIMP”SESSIONS」がネット限定で配信開始になりました。
映画『さくらん』(2007年2月24日公開)の音楽監督を担当した椎名林檎が予てから親交の深いSOIL&”PIMP”SESSIONSと共演した楽曲です。
椎名林檎といえば東京事変というグループのリーダーとしても活動しておりPE’Zのキーボード奏者ヒイズミマサユ機が昨年まで在団していたようにかなりジャズっぽい音楽をやっていました。この楽曲でもクラブジャズとして人気のSOIL&”PIMP”SESSIONSとの共演で映画版とは別バージョンのジャズっぽい内容となっています。
映画は、江戸・吉原の花魁の物語のようだが林檎の巻き舌でたたみかける扇情的な歌い方がSOIL&”PIMP”SESSIONSのスピード感溢れるサウンドにのって花魁の強さやエンタテーメント性を感じさせます。江戸・吉原は現代のラスベガスだったなんていうこじつけキャッチ・コピーも一面は当たっているかも。(2006.11.12)




テクノラティプロフィール

渡辺香津美とアキコ・グレースがBS Asahiで共演

Filed under: ジャズ — admin @ 13:43:09

BS Asahiの番組で「Music Soul Playback」という音楽番組があります。これまで、ケイコ・リー、TOKU・小沼ようすけなど話題のジャズ・ミュージシャンが出演してきました。先日は、ギターの渡辺香津美とピアノのアキコ・グレースが出演、演奏もトークもすばらしい内容でした。
フロム・オスロ

演奏は別々に最近のアルバムからの曲を演奏しましたが、”ノルウェーの森”では2人が共演を行い、これがとってもよかったです。ジャズは即興演奏即ちアドリブが命ですが、即興で聞き応えのある演奏を行えるミュージシャンというのはそうは多くないのです。だって、あたりまえでしょう、練りに練って作曲した曲と即興で作った曲と比べ即興のほうが劣るのはあたりまえです。ジャズはテーマ(作曲された部分)を演奏し次に即興のアドリブを行い、再びテーマに戻って終わるとおうのが一般的な演奏スタイルです。アドリブの部分も当然曲の一部なのですが多くのミュージシャンのアドリブは作曲しながら演奏しているという感じはあまりしません。コードに合うフレーズを埋めているというのが殆どです。ですからバックのリスムと合っていてノリがいいことを重視していわゆるグルーヴしていることでよしとします。
しかし、これが名手、巨匠となるとそうではなく立派な曲の一部としても聞こえるのです。それも、2人で即興で合奏するとなるともっとすごいことになります。渡辺香津美とのアキコ・グレースの演奏はそのようなすばらしい内容でした。

この番組はトークの割合が多いですがパーソナリリティがDJの赤坂泰彦とバイオリニストの高嶋ちさ子という音楽に対する知識、感性が豊かな人なのでミュージシャンとの会話もスムーズで音楽的に専門用語使わなくても深い内容のある話をしていました。
数ある音楽番組の中でイチオシの番組です。毎週日曜日11:00~11:55です。(2006.9.11)


ギター・ルネッサンスIII<翼>




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